今回の特集でたずねた二つめの家族は、セシール・タリエールさん、フィリップ・ポルネさん夫妻と16歳の娘アヌーク、13歳の息子アドリアンの四人家族。セシールさんは、十代からヒッチハイクで世界をめぐり、いまはアーティストとしての創作活動のかたわら、絵画・彫刻教室のモデル、古本屋の手伝いをしています。夫のフィリップさんは大気汚染の研究で博士号を取得、大手自動車メーカーに勤務していたのですがリストラにあい、現在は庭園管理の仕事をしています。

音楽と自然を愛する子どもたちと四人で暮らす50平米ほどの小さなアパルトマンは、創意にあふれた居心地のいい住まい。フランス人は一日平均96分を食事にかけるそうですが、これはほかの欧米諸国の二倍に当たるそう。セシールさん一家も、それぞれが忙しい生活を送っているけれど、家族で話しあえる食事の時間を大切にしているといいます。料理を担当するのは、失業中に料理を覚え、すっかり腕を上げた夫のフィリップさん。おじゃました日も、丸のままの鴨を小たまねぎやじゃがいも、ナスなどといっしょにローストした、おいしいランチを料理しているところでした。

さて、ご存知のようにフランスはヴァカンスをなにより重んじる国。5週間という世界最長の有給休暇を誇っています。セシールさんとフィリップさんは夏のヴァカンスでは毎年、かならずどこかの山地にキャンプ旅行にでかけ、子どもたちに生の自然を体験させているといいます。子どもたちは、テントをかついでの旅と父方のブルゴーニュの田舎、母方の祖父母がセカンドハウスをもっているブルターニュの島で夏を愉しみます。セシールさんはこう語っています。

「私にとってはヴァカンスこそ本当の人生。時間が自分のものになるからです。自分自身とじっくり向き合うゆっくりした時間から、何かが生まれると思う。消費するためにたくさん働くなんてばかげているわ」。

自分の人生を自分自身でつくっていく。働くことの意味をもう一度考えるきっかけになるような夫妻の話にちょっと耳を傾けてみてください。