平凡パンチ、アンアン、ポパイ、ブルータス、オリーブ、Hanako……木滑良久さんが編集・創刊した雑誌はいつも、わたしたちがより楽しんで生きる術と、新しい価値観をいきいきと伝えてくれるものでした。編集長、社長として長年マガジンハウスで活躍なさってきた木滑さんは、79歳の現在も同社の最高顧問をつとめていらっしゃいます。(ご本人曰く、「横丁の隠居みたいなものですよ」)

 少年時代からずっと、動力のない乗り物――船や自転車、ローラースケートなどが大好きで、いまも自転車やヨットにはしばしばお乗りになるそうです。ご自宅のある目白から銀座のマガジンハウスまでなら、自転車でひとっ走り、とのこと。今回、インタビューはマガジンハウスの執務室で、写真は広尾にあるパパスカフェで撮影させていただいたのですが、自転車に乗るときの普段着姿のかっこいいこと。

 残念ながら日本では(われわれのまわりでは、ということでしょうか)、木滑さんのようにほんとうにおしゃれな男性は、ほとんどみかけることがありません。お会いするたびに、さすがだなあ、とほれぼれします。スーツにネクタイのときも、ちょっとカジュアルなジャケットのときも、バミューダ丈のパンツのときも、さりげないのに上品で、ほんとうにすてきなのです。こういう男性がもっとたくさん増えてほしい。

 と、それはさておき、木滑さんのお話をうかがっていると、年をとってからますますだいじなのは友人だな、と思います。でもべたべたつきあうのではなく、さらっとがいい。そして――。

気の合う人、自分と似たテイストをもっているけど雰囲気の違う人、……全部が好きじゃなくても、いいものを持ってるなと思う人と仲良くする。……定年退職してすぐパソコン教室に駆け出していったり、陶芸教室に行ったり、カメラぶらさげて鎌倉をうろついたりするっていう、そういう年寄りになるのはやめたほうがいい。人間は本来ひとりなんですからね。孤立するのは楽しいことだって思ったほうがいい。そのほうが幸せですよ。

 
 船が好きで海軍の航空隊に入りたいと思っていた木滑さんは、15歳で終戦を迎えます。そのとき、「これからは勉強以外のことを熱心にやろう」と思ったそうです。

友だちには勉強しないなんてばかだって言われたけれど、でも勉強だけ一生懸命やってたやつはみんなつまんないやつになっちゃったよ。……出世だの野心だの勝ち組だのって言ってちゃだめなんです。

 
 それから65年、木滑さんは何によって目を開かれ、どんなふうに生きてきたか。「アンチ・エイジング」ではなく「ウィズ・エイジング」がいいという木滑さんのお話、ぜひ本誌でごらんください。