今回は、「あこがれの老年時代」特集でインタビューさせていただいた方々のコメントから、ひとことずつご紹介しましょう。

池田武邦さん(建築家)

「もしも自分がこれから建築の道を進むとしたら、日本の庶民が何百年も造りつづけてきた伝統的な家屋、そこから考えをスタートさせて、未来の建築も構想したいっていうことです。若い人がここに来れば、そういう話をするんですよ」

茂山千作さん(狂言師)

「笑う門には福来る。これは昔からいわれている言葉ですけど……この言葉の意味は、先に身体が笑うと精神的にもほころぶというか、大きな声で笑いますとね、心もそういう気持ちになりますからね、お客さんもそういう気持ちになってくれる」

養老孟司さん(解剖学者)

「私自身がニコニコ顔で思い出すのは、少し前に亡くなられた河合隼雄さんです。いつもニコニコして駄洒落ばかりおっしゃっていた。人の意見を訂正せずに聞いていらして、最後は文化庁長官で激務をこなされていてね。……懐かしいなあ。河合さんとの思い出はすべて笑いに満ちています」

平良とみさん(女優)

「夜中に病院に入ったとき……私は子どもたちに『いぐんどぅやしょうてぃ するひとぅやうらん あさゆさぬちゃばなしる いぐんとぅうむり』と琉歌を詠みました。『死ぬ間際に、これが遺言だと言う人はいない。朝な夕なに話すことや日ごろの行動が、私の遺言だと思いなさいよ』という意味です」

木田元さん(哲学者)

「年をとる楽しみというのも、あるもんだと思いますね。気力体力がおとろえるにつれて、欲望も功をあせる気持ちも無くなる。お日さまを背中に浴びて、さて今日はどの本をめくろうか、いや音楽でも聴こうかと急ぎもしない。うまい具合にバランスがとれているんです」

吉沢久子さん(生活評論家)

「お金持ちになるのは無理だけれど、年をとったら“時間持ち”になれるわよ、と若い人たちには言ってあげたいですね。ゆったり暮らせるというのは、とてもぜいたくなことです。でも、そういうことを楽しめるようになるためには、若いうちは一生懸命働かなきゃダメね。働いてきたからこそ分かる、楽しみなんじゃないかなと思います」

加島祥造さん(エッセイスト)

「『直感』に忠実だったから、老年になっても割合と元気にやっているような気がする。本来の自分にある、枯れない泉というかな、それが少しずつ出ていればね、晩年になって、その人なりの好きなことを見つけられると思うんだ。だから、定年を迎えた人は、『直感』に基づいたライフに戻れるチャンスだと思うよ」