アニメや絵本にもなった『木を植えた男』というお話がありましたが、安藤忠雄さんもまた「木を植える男」です。ただ、そこには大きな違いもあって、あのお話では男がたった一人で木を植えつづけたのに対し、安藤さんは多くの人々に呼びかけながら、みんなで木を植える活動を盛りあげようとしています。

 冬号から始まった新連載「だから私は木を植える」は、世界的建築家の安藤さんが、これまでご自身で旗振りされてきた植樹活動を振り返り、あらためて木を植えることの大切さを、読者と一緒に考えてみようというものです。

 第1回は東京での緑化活動がテーマ。みなさんは東京湾に浮かぶ「海の森」をご存じですか? 2020年のオリンピックで馬術やボートなどの会場に予定されている場所ですが、じつはここ、もともとゴミと建設発生土の埋立地で、10年前には木など1本も生えていない不毛の島でした。それが、2016年の五輪の東京への招致運動にあたり、安藤さんの提案で、募金による市民参加型の植樹活動が進められたのでした。

 この連載のために撮影の下見に行って、東京ゲートブリッジから「海の森」を初めて目にし、驚きました。高層ビル群を背景に、青い水面に緑の森がポッコリ浮かぶ光景は、ちょっとマグリットの絵のような不思議さで――。

 そして4月4日発売の春号では、安藤さんの地元・大阪を舞台に、「桜の会・平成の通り抜け」を中心とする活動が紹介されます。花の季節の到来と合わせ、どうぞお楽しみに!