好評発売中の2016年春号では、「12人の、『考える人』たち。」をご紹介していますが、そのうち半分の6人の方には「スペシャル対談」という形でご登場いただきました。それぞれ、本気で「知」と向き合う刺激的な対談になっています。どんな内容なのか、ダイジェストでご案内します。

スペシャル対談 1
内藤礼&池上高志 生命の「かたち」を考える

 東大で教えるかたわら、コンピューターでのシミレーションや化学実験、ロボットを使い、人工生命の構築に挑んでいらっしゃる池上高志さん。研究やそこから発展するアートではチームを組んでの作業になることが多く、アーティストとの協同作業になることも頻繁です。

池上高志さん(撮影・青木登)
 

 その池上さんと雑談していた際に出たのが、内藤礼さんのお名前でした。
 『母型』(豊島[てしま]美術館)をご覧になり、どのようにして「生命」の持つ原始的な、それでいて未来を感じさせる、あの作品を作られるのか内藤礼さんにぜひ聞いてみたい――というのです。
 その結果実現したのが、今回の対談です。

 内容はお読みいただくとして、その前後にぜひ内藤礼さんの作品の実物をご覧になることをお勧めいたします。まず、豊島美術館へぜひ。

 作品集『内藤礼 | 1985-2015 祝福』(美しい写真とともに、ご自身の珠玉の言葉の数々を堪能できます)、とんぼの本の『直島 瀬戸内アートの楽園』(内藤さんも寄稿くださっています)で写真から入ってみるのもよいかもしれません。

 また、東京の方は、資生堂ギャラリーで開催される『初心』(椿会展2016)に内藤さんの作品の出展があるとのこと。4月28日~6月19日までですので、足を運んでみてはいかがでしょうか。

スペシャル対談 2
鈴木健&森田真生 「チューリング部屋」をつくる

「チューリング部屋」で対談する森田真生さん(左)と鈴木健さん(右)。(撮影・新津保建秀)
 

 「スマートニュースで、チューリングの部屋をつくるんです」

 「考える人」の「数学の言葉」特集でお世話になった、森田真生さんからそううかがったのは、だいぶ前のことでした。

 なぬなぬ? イギリスのあの数学者、チューリングの部屋? 社内図書室? 

 その後まとまった森田さんのご著作『数学する身体』(小社刊)もその部屋に置かせていただくことになり、そこでうかがった経緯のおもしろさを記事にまとめよう!と相成ったのが、この対談です。

 その背景のひとつとして、鈴木さんのご著作『なめらかな社会とその敵』にも目を通されることをお勧めします。

 また、スマートニュースさんが社内で作成した『みちくさ』という、この「チューリング部屋」をめぐる物語をまとめた冊子もあります。そこで、鈴木健さんが巻頭言をまとめていらっしゃるので、それを読むと、対談の内容の理解が深まるかと思います。

 次はどんな部屋ができるのでしょうか。楽しみでなりません。

スペシャル対談 3
山本貴光×吉川浩満 「知のサヴァイヴァル・キット」を更新せよ!

吉川浩満さん(左)と山本貴光さん(右)による対談〈生き延びるための人文〉は次号以降も続きます。お楽しみに!(撮影・菅野健児)
 

 最近また、「人文学の危機」が言われています。
 文科省の通達(2015年6月8日「国立大学法人等の組織及び業務全般の見直しについて」)に端を発し、積年の人文学への軽視と、それに対する不満が噴出したというふうにも見えます。

 科学、哲学、文学、芸術まで幅広い論考で大活躍の山本貴光さん・吉川浩満さんに、いま気になっていることをお尋ねしたら、「人文かなあ」「人文についてもっとできるね」と異口同音にテーマが浮かび上がってきました。
 といってもお二人の旗色は鮮明です。「人文学は実用的でない、不要不急の学問である、といわれているけれど、とんでもない話で、人間を読み解くのに必須の人文的思考がいまほど求められるときはないんです」。いまの現実の課題を取り上げ、それに沿って考えていただくことにしました。

 共著・共訳で互いを鏡とし、原稿をつくることに慣れたお二人、今回も歴史、哲学思想、人工知能、ゲームなどそれぞれの広範な得意分野の最新の知見を示しながら、縦横に意見を戦わせていきました。

「選択肢は、役に立つ立たないでも、必要か不要かでもなく、豊かな人文か貧しい人文かしかない」――吉川

「人文学とは、もともとは子どもたちが人間や社会を学ぶための知のサヴァイヴァル・キットという意味」――山本

「知のサヴァイヴァル・キットが時代とともに変化してきたのなら、それをいまの時代にふさわしい内容にしなければならない」――吉川

「文も理も関係なく、新しい知識や技術をいかに人文のなかに位置づけるかが大事」――山本、吉川

 まるで執筆するように密度の濃い、それでいて難解に陥らない対話の様子は、ぜひ本誌でお確かめください。このテーマの必読書12冊も掲げています。

 この対談は「生き延びるための人文」として、連続掲載いたします。次号2016年夏号では、「人文の〈理想〉と〈現実〉」と題して、実社会の求めている人間像と人文に出来ることを、より具体的に解読していく予定です。どうぞお楽しみに。