のっけからナンですが、最近紙の雑誌の発行を止めて、完全にネットに移行するケースが増えてきました。あの雑誌も? この雑誌も? そんなニュースを聞くたびに一抹の寂しさを覚え、直後にその思いを打ち消します。
 果たして、自分には寂しがる資格はあるのか。その雑誌を最後に買ったのはいつ?
 「考える人」も他人事ではありません。おかげさまでこの夏に創刊十五年目を迎えますが、楽観的ではいられません。
 この十四年で私たちをとりまく状況も、とても大きく変わりました。当時、携帯電話会社に勤める知人に「そのうち、ケータイを改札機にタッチするだけで電車に乗れるようになる」と聞いて、「またまた、そんなドラえもんみたいな話」と笑っていましたが、いまやその「ひみつ道具」も珍しいものではありません。そのくらい変わりゆく世の中において、「考える人」はどのようなたたずまいでいるべきなのか。
 昨秋から、社内で議論を重ねました。雑誌のよそおいを変えた経緯については前回の当欄でお伝えしたとおりです。それと同時に、「考える人」とインターネットの関係性についても正面から向き合いました。
 いまや、よいコンテンツを届けるためには、紙かウェブかではなく、「どちらでも」であるべきではないか。
 というわけで、「Webでも考える人」というサイトを立ち上げました。本誌連動企画や高野秀行与那原恵岡ノ谷一夫安田菜津紀宮田珠己村井理子ら各氏の粒ぞろいのWebオリジナル連載企画も盛りだくさんです。
 また、春号で連載二〇回を数える読み切りコラム「考える四季」シリーズを、すべて再録。幅広いジャンルの方にご執筆いただいた名コラムにまた出会えます。
 今後も本誌連動企画やオリジナル連載はどんどん増えていく予定です。また、ウェブならではの特性を生かした展開に随時チャレンジしていきたいと息巻いています。
 今まで「考える人」という雑誌を知らなかった、知っていたけどなかなか手が出なかったという方にも親しみやすいつくり、デザイン、コンテンツだと自負しています。
 このサイトは会員登録や課金などは現段階では予定されていません。
 創刊からの理念「plain living & high thinking」を守りながら、少し間口を広げて、〝いちげんさん〟にも気軽に覗いていただける店構えが、いま必要なのだと思っています。お店の前を素通りされては、あるいはお店があることにすら気づいてもらえなければ、意味がありません。
 ウェブでも紙でも「考える人」の築き上げてきた、ある種のブランドイメージは変わりません。
 まずは通勤途中に、コーヒータイムに、あるいは仕事や勉強の合間に、ヒマつぶししたいときにでもぜひ「Webでも考える人」にあそびにきてください。ツイッターフェイスブックページも日々更新中。こちらもチェックのほどをお忘れなく!

(「波」2016年5月号掲載)