世界を暮らしながら旅した記録「遊牧夫婦」シリーズで知られるライターの近藤雄生(ゆうき)さんによる新連載は「ここがぼくらのホームタウン」。移住した人、Uターンした人、ずっと地元で暮らす人……それぞれにとっての〝ふるさと〟を手探りで作っていく姿をルポするシリーズです。

 第1回の舞台は広島県尾道市と橋でつながる向島(むかいしま)。ここに移り住んで音楽活動をやりながら、チョコレート工場を営む30代の男性3人の姿を追いました。尾道にもチョコレートにも縁のなかった3人は、なぜこの瀬戸内の島で手作りチョコレートを作ることになったのか。運命の糸に引かれるように集まった、出身地もばらばら(福岡、兵庫、広島)な3人は、アメリカのチョコレート工場に見学に行ったり、グアテマラやパプアニューギニアにカカオ豆を買いつけに行ったりして、1年がかりで、カカオと砂糖以外には余分なものを一切混ぜない自分たちだけの骨太な味のチョコレートを作り上げました。

 

「いまこのときに本当にしたいことをして生きていきたい」。3人のうちの1人、中村真也さんの言葉を聞きながら、近藤さんはこう綴ります。

「私は20代後半から5年半にわたって世界各地を旅し、いくつかの町で暮らしてきた。その日々がいまの自分の核にある。そして日本に戻り京都に暮らし始めてすでに7年が経った。これからどこでどうやって生きていくか。それは私自身にとって大きな問いとなっている。それゆえいま、自らの実感に従って自らが選んだ土地で生きる人たちに会い、話したいと思う気持ちが強くある」

 今年40歳の筆者が自らの人生を重ねながら人々をルポする新連載をぜひお楽しみください。7月4日発売の夏号の舞台は静岡県の南伊豆町です。近藤さんと息のあったカメラマン・吉田亮人さんによる写真も見応えたっぷり。一緒に楽しんでください。