ロングインタビュー「洗いざらしのTシャツみたいに」

 谷川俊太郎さんといえば、日本でもっとも人気の高い詩人といっても過言ではないでしょう。誰よりも長く、現役の詩人として作品を生み出しつづけ、いまもほとんどの詩を読むことができます。人生の軌跡とともに作品は変化を重ねているのに、それがいっこうに古さを感じさせないのは不思議です。でも、それが谷川さんらしいというふうにも思います。

 


 2014年春号の小特集「石井桃子を読む」で、谷川さんにお話をうかがいました。ジャーナリストである尾崎真理子さんが、第一詩集『二十億光年の孤独』から新しい詩集『ミライノコドモ』(14年当時)までを座右に置き、聞き手をつとめてくださいました。

「僕は詩を書くことで、自分の中の子どもを抑圧せずに済んでいる」
「今、この瞬間に生きているということが人間にとっていちばん基本的なリアリティなんだと思う」
「人間はみんな網みたいにつながっている、それとは別に一人の自分というもの――両方が必要なんですよ」

 谷川さんにインタビューしたり、トークを聞いた人の多くがそう思うように、私たちはもっともっと谷川さんの語ることに耳を傾けたいと考えました。その願いを聞きいれて、1年もの間、さまざまな問いに応えてくださいました。
 北軽井沢にまつわる幼い日の思い出、詩を書き始めた頃のこと、毎日の暮らし、女性に求めるもの、結婚について、3人目の妻・佐野洋子さんについて、そして詩について……。
 また、この特集のために詩を2篇書き下ろしていただきました。どうぞお楽しみに。

 今号特集は、北軽井沢にある谷川俊太郎さんの別荘からお送りしています。緑のあざやかさ、みずみずしく冷気をふくんだ風を感じていただけるでしょうか。

撮影・菅野健児(2点とも)
 

谷川俊太郎×望月通陽対談
「魂だけです、さまよっているのは。」 

 率直で言葉をかざらない語り手である谷川さんは、また無類の対談の名手でもあります。
 「対談するなら、話がおもしろい人でなくちゃ」と詩人が迷わず指名したのは、染色家で造形作家の望月通陽(みちあき)さん。東京・杉並区の谷川さんのご自宅で、父・谷川徹三氏譲りの興味、「民芸」の話から口火を切ったものの――ふふっ。くっくっく。かっかっか。はっはっは。――笑いたがりの虫がうずうずしている二人なのでした。

撮影・広瀬達郎