好評発売中の夏号から、新連載が3本始まりました! それぞれご紹介します。

細野晴臣「地球の音」

 音楽家の細野晴臣さんに連載をしていただくきっかけができたのは、2015年秋号「宇宙」特集のときでした。

 「ときどき宇宙人に間違われる」という細野さんに、宇宙の音って何でしょうね? と聞きに行ったのです。YMOの初期のアルバムは宇宙人に聴かせたいというロマンチックな気持ちで作ったと語る細野さんですが、いまいちばん興味があるのは「地球の音」。空気を震わせる音楽は、知る限り地球にしかない――言われてみれば確かに大気のない宇宙は無音のはず。そこで夏から始まった新連載は「地球の音」。ひと一倍鋭い耳を持つ細野さんが、様々な音を手がかりに地球の暮らしを考えます。

森を歩くひと――養老孟司「森の残響を聴く」

 「虫好きのおじいちゃん」。
 養老さんは、最近そう呼ばれることがあるそうです。「考える人」の創刊以来、ほぼ休まずに登場されているので、これを読んでいる方は意外に思われるかもしれません。実際のところは、というと、子供を野山に連れ出して虫採りに出かける機会も多く、「養老先生の昆虫教室」は大人気のイベントなのだとか。もちろん虫仲間とも、海外遠征までされているそうです。

 虫のご縁で森とかかわりの多い養老さん、実は「日本に健全な森をつくり直す委員会」というNPOを起ち上げて、昆虫のみならず、森林、地質、気候などの専門的な研究者や、実際に森の手入れをする人たち、そこに住む人たちと、てくてく全国の森を歩いています。
「日本に健全な森をつくり直す委員会」=http://www.kenzen-mori.org/

 森へご一緒する機会が何度かあり、面白いことに気づきました。
 「森を見究めるのに必要な目線がある」ということです。
 なんでもそうですが、専門家とものを見ると、解像度が細かくなり、細部がわかって、違った側面に気づきます。そして、養老さんと歩くと、細部を拾った上で社会の中での役割を俯瞰できるようになるのです。今まで見ていた森が、違ってきます。

 それなら――
と、はじまったのがこの連載、「森の残響を聴く」です。
 なぜ「残響」としたのか、それは今後の連載でお伝えできればと思います。
 初回は、養老さんが大好きだと何度もおっしゃる徳島、祖谷(いや)へ出かけました。新緑萌える5月、あの、若葉の濃い薫りが山には立ちこめていました。平家の落人伝説があることでご存じの方もいらっしゃるかもしれません(その辺りもちょっと取材しています)。

 降り立ったのは、JR土讃線「大歩危」(おおぼけ)駅です。吉野川の流域の、峻険な峡谷の連なる地域です。ちなみに隣には、「小歩危」(こぼけ)駅もあります。可愛らしく聞こえる地名ですが、「歩危」の文字通り、深い谷間を歩くのは大変でした。

 

 日本の森林率は、68%。
 さあ、森の世界が待っています。

村井理子「村井さんちの生活」

 「Webでも考える人」で連載を始めるやいなや、たちまち大反響を呼んだ翻訳家・村井理子さんの「村井さんちの生活」。あまりの反響の大きさに、Webのみならず、雑誌でも連載をしていただくことにしました。

 あるときは『ゼロからトースターを作ってみた結果』のヒットを生む翻訳家、あるときは『ブッシュ妄言録』を訳すホワイトハウスウォッチャー、あるときは「ぎゅうぎゅう焼き」ブームを巻き起こすお料理上手……いろいろな顔を持つ村井さんですが、いったいどんなお人柄で、どんな暮らしをなさっているのかは実はよくわからない。そこで俄然興味が湧き、「村井さんちの生活」のご執筆をお願いした次第です。

 雑誌での第一回はズバリ「翻訳家という職業」。〈翻訳を専門的に学んだこともなければ、著名な翻訳家の元で修業を積んだ経験もない。自信もない。それでも気づけば、私はいつの間にか翻訳家になっていた〉という村井さん。彼女の今があるのも、学生時代に出会ったあるひとりの先生のおかげだそうです。

 なお、この雑誌に掲載された原稿はWebでは読めません。Webも雑誌もぜひ両方チェックして下さいね!