春号、夏号からいくつか新連載がスタートしました。順不同に紹介してまいります。

「糸井重里のいまさらだけど、マンガっていいなぁ。」――マンガ家になりたいくらいマンガ好きだったという糸井さん。最近になって改めて「マンガづいた」のは、ネットに発表される作品群を見たからです。マンガという自由度の高い表現形式が、いかに豊かな花を咲かせているか――それを楽しみながら探索します。

細野晴臣「地球の音」――YMOの初期アルバムは宇宙人に聴かせたいと思って作っていたと語る細野さんが、いま一番興味を抱くのは「地球の音」。空気を震わせる音楽は、考えてみれば地球にしかありません。人一倍鋭い耳を持つ細野さんが、さまざまな音を手がかりに地球の暮らしを考えます。

近藤雄生「ここがぼくらのホームタウン」――暮らしながら世界を旅した記録「遊牧夫婦」シリーズで知られる著者が、移住した人、Uターンした人、ずっと地元で暮らす人――それぞれが自分にとっての〝ふるさと〟を、手探りで創り出す姿をルポします。第一回目は広島県尾道市の向島、二回目の舞台は静岡県南伊豆町です。

杉本圭司「小林秀雄の時」――二〇一三年春号特集「小林秀雄 最後の日々」で、長篇評論「契りのストラディヴァリウス」を問うた気鋭の評論家が、小林の代表作「モオツァルト」執筆の背景に肉迫し、彼の文学人生に照らしながら作品の本質を読み解きます。

養老孟司「森の残響を聴く」――大好評だった「ヨーロッパ墓地めぐり」に続く連載は、打って変わって日本の森。夏号で訪ねたのは徳島県祖谷(いや)、剣山の自然林です。この国から「会いたい森」がなくならないように「森とどう生きるか」を探っていきます。

村井理子「村井さんちの生活」――「Webでも考える人」で先行スタートすると、たちまち人気が沸騰している村井さんのコラム。雑誌では、「翻訳家」としての日々の感慨を綴っていただきます。

写真の連載も二本始まりました。

都築響一「圏外写真家」――カメラ付き携帯電話によって、いまや誰でもどこでも写真が撮れる時代ですが、「撮れる」と「撮る」は違うのだと、都築さんは語ります。他人にどう思われようと、自分が撮りたいものを「撮る」――いわゆるプロやその予備軍とは別次元の(=圏外の)写真家だからこその面白さにしっかり目を凝らして紹介します。

田原桂一「光の意志」――こちらはプロ中のプロの写真家である田原桂一さんの、やはり「撮る」ことに賭けた情熱の結晶。日本各地の「ここぞ」という場所(出雲、秋吉台、精進湖など)を、あえて夜に、大がかりな人工照明を当てて撮影しています。日中は影をひそめていた自然の力が、闇の中からくっきりと浮かび上がり、誰も見たことがない光景が現出します。

(「波」2016年8月号掲載)