「何でもいいから、思いつく俳句を挙げてみて」
 と言われたら、誰でも一つや二つは思い浮かぶ俳句があると思います。それは、古池や――かもしれませんし、目には青葉――かもしれません。
 いずれにしても、大半の方がまっさきに口にするのは、芭蕉など昔の俳人の句ではないでしょうか。逆に、現代の俳人の作品をすらすら暗唱出来る方は、なかなかいないと思います。学校の授業で俳句を学んだり、趣味で俳句を作る人は多いのに、人口に膾炙されているのは江戸時代の句、というのも面白いものです。
 ところが、短歌はどうでしょう。好きな歌を挙げてみてと言われても、それこそ百人一首みたいなものを除いては、まず思い浮かぶのは『サラダ記念日』だったり、『チョコレート革命』だったりするのではないでしょうか。
 日本における現代短歌は、俵万智さんなしではありえなかったと思います。難しい、とっつきにくいと思われていた短歌を、身の周りに材を採ったり、現代のカタカナ言葉を積極的に使ったりすることで、非常に親しみ深く、分かりやすいものにしてくれました。
 俵さんの歌集を読んだことがきっかけで、短歌に興味を持ったり、自分でも歌を作り始めた方は多いと思います。
 とはいえ、闇雲に作ってみたところで、なかなかいい歌は生まれません。趣味だから好きに作ればいいことではありますが、せっかく作るのなら、よりいいものをと思うのが人情です。短歌は、誰でもどこでも作れます。五七五七七という三十一文字が基本ですから、極端なことを言えば、紙と鉛筆すらなくても、頭の中だけで作ることが出来ます。
 しかし、それだけに奥が深いのも確かです。限られた字数の中に自分の思いを込めるためには、それなりの訓練が必要になります。分かって欲しくてつい言い過ぎてしまったり、逆に大丈夫だろうと過信して言葉足らずになったり。
『考える人』で大好評連載中の「考える短歌」では、現代を代表する歌人の俵さんが、みなさんからお寄せいただいた歌を基に、優れた短歌を作るためのコツを丁寧に教えてくれます。投稿された短歌を具体的に添削していくので、どこがいけなかったのか、何に注意すればいいのかが手に取るように分かります。
 毎回いくつかのテーマに基づいて講義のように話が進みますので、いつも新しい発見があることと思います。何気なく使っていた言葉が、実はクドイ表現になっていた等々、一般の文章にも応用出来る話が満載で、優れた「文章読本」として読んでいただくことも出来るクオリティです。
 次号より、掲載された方全員と、応募された方の中から抽選で『考える人』特製鉛筆をプレゼント出来ることになりました。
 惜しくも掲載されなかった作品も、俵さんがじっくりと読んで下さっています。俵さんに直接短歌を読んでもらえる絶好の機会。みなさん、是非ふるってご応募下さい。