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 インテルメッツォ(間奏曲)
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 このメールマガジンを引き継いでから、ちょうど300回目を迎えました。たまに休みを入れながら、週に1回のペースで6年4ヵ月。量でいえば、400字詰め原稿用紙にして総計4000枚を超えました。

 マラソン初心者向けにLSDというトレーニング方法があります。「ロング・スロー・ディスタンス」の略語で、「ゆっくりと、長い時間をかけて、まとまった距離を走る」の意味です。地道にこれを繰り返していれば筋力・心肺機能が徐々にアップして、必ずフルマラソンが完走できる、という練習法です。「継続は力なり」を地で行く万人向きのトレーニング――。

 300回は、そのLSDを連想させます。1週間に1度のペースで(LSDはもっと走り込みますが)、たゆまず持続していたら、いつの間にかここまで来ていた! 距離を伸ばすことが目標だったわけではありませんが、気がつくと、「僕の前に道はない/僕の後ろに道は出来る」(高村光太郎「道程」)というわけでした。

 たまたまそんなタイミングで、以前書いたものを読み返す必要が生じました。これまでは一度も読み返したことがありません。1回1回、時間に追われ“綱渡り”を繰り返してきたのが実情で、後ろを振り返る余裕などありませんでした。

 なので、どんなことを書いてきたのか、読み始める前は、さすがに少し身構えました。こわごわ読んでみて、驚きました。書いた内容を、ほとんど忘れているからです。こんなにきれいに忘れていいものか、ちょっと心配になるくらい。

 ただ、自分が書いた文章であるのは間違いありません。善きにつけ悪しきにつけ、いかにも書きそうなことを、やはり書いているからです。なぜそれを書いたのか、というきっかけや、その頃の出来事などを思い出すと、ああそういうことだったんだな、とようやく納得がいく始末。

 メールマガジンという枠組み自体は前任者が用意してくれたものでした。新編集長は何者か、どういうことを考えて雑誌作りをしているのか――広い意味での自己紹介のつもりでした。その基本はいまも変わりませんが、書く楽しみは次第に増してきています。何より毎回いろんな感想をいただくのが励みになっています。

 春に雑誌をリニューアルした際に、これからはウェブ(「Webでも考える人」)とイベントと紙の雑誌(そこから生まれた本)と三位一体で作りだす空間を雑誌のコミュニティとして考えたいと申し上げました。メルマガも含めて、この空間をさらに充実させていきたいと思います。

 引き継いだ時からメルマガの登録者数も約3倍になりました。LSDを心がけ、もうしばらく走り続けたいと思います。300回の節目にあたり、日頃の感謝をこめまして。

「考える人」編集長 河野通和(こうのみちかず)