高度成長期、上京青年たちを悩ませたのは「方言」でした。お国言葉は「恥ずかしく」「隠したい」ものだったから。ところが1980年代以降、テレビの普及によって「共通語」が誰でも使える「フツー」の言葉となり、方言コンプレックスは消えていきます。さらに2000年代、インターネットの広がりによって「打ち言葉」が一般化すると、「話すように打ちたい」気分から、「方言」が急速に「見える化」。昨今の「地元ブーム」と相まって、いまや方言ブームと言っても良いほど方言が脚光をあびています。ただ、ここでいう「方言」が、日々の生活の中で使われてきた「リアル方言」なのか、テレビドラマなどでの編集加工を経た「ヴァーチャル方言」なのかによって、「方言」の意味も大きく変わるのですが。

『「方言コスプレ」の時代――ニセ関西弁から龍馬語まで』など方言にまつわる著書で、本物のローカルな方言とニセ方言を鋭く分析してきた日本大学文学部の田中ゆかり教授が、そもそもヴァーチャル方言はいかなる編集加工を経て定着していったのかを分析するのが新連載「読み解き 方言キャラ」です。連載初回では、全国方言意識調査の結果をもとに、「記憶に残る方言キャラ・ベスト10」と「記憶に残る方言コンテンツ・ベスト10」を挙げてくださいました。キャラの1位は「あまちゃん」の天野アキ。「じぇじぇじぇ」は流行語になりました。2位は「まれ」の紺谷希。3位は「おしん」の山形弁ヒロイン田倉しん。「おしん」は朝ドラで初めてオープニングクレジットロールに「方言指導」が明示された作品で、方言ドラマのあり方としても画期的なものだったとか。

田中ゆかりさんの最新刊は『方言萌え!?――ヴァーチャル方言を読み解く』 (岩波ジュニア新書) 。

 4位以下はどんな方言キャラなのか、そして彼らを世にだしたコンテンツ・ベスト10にはどんなドラマや映画が並ぶのか、ぜひ冬号でお読みください。春号の予告をすると、連載2回は「龍馬語」が出来るまで、ぜよ。