京都・嵯峨野で女手三代、染織の業を営む志村洋子さんが、本誌「考える人」で『日本の色と言葉』と題し、連載を開始したのは2013年秋のこと。以来、およそ二年半にわたり、今日の私たちが忘れてしまった色の豊かさ、それを生み出す自然の醍醐味について、けれんみない文章で綴ってくれました。その連載が、加筆修正され、3月17日、単行本『色という奇跡 母・ふくみから受け継いだもの』として上梓されます。

志村洋子『色という奇跡―母・ふくみから受け継いだもの―』(新潮社刊)


 その書籍『色という奇跡』の読みどころ、魅力について、著者である志村洋子さん自身が、京都・嵯峨野の「都機(つき)工房」で語ってくれました。生命が見せる瞬間の輝き、そもそも色とは何であるのか等々、興味深い話が伺えます。

 また本書には、一つ大きな特典があります。オリジナル裂(きれ)作品『色の扉』が必ず付いてくるのです。『色の扉』は、志村さんの工房に長く受け継がれてきた「小裂(こぎれ)」をもとに、一点一点すべて手作業でデザイン、コラージュし、サインと落款を施した豪華なもの。ご紹介する動画では、この『色の扉』の作製風景、それに著者の「実際に手にとっていただき、織りの感触の醍醐味を味わってみてほしい」との思いも語られています。
 女性ばかりのお弟子さんたちの集まる「都機工房」は、本来、なかなか立ち入ることのできない禁制の場ですが、今回は特別に映像に収めさせていただきました。藍甕に白糸を漬けると、たちまちエメラルドグリーンに輝く瞬間、あるいは丁寧に手作業で機織りを仕上げていく彼女たちの真剣な表情……貴重なシーンの数々です。
 この動画を撮影した際の詳しいレポートは、4/4発売の本誌「考える人」春号において4ページの記事として紹介する予定です。是非、こちらもご覧になってください。また、『色という奇跡』刊行記念イベントとして、4月15日には、新潮社に隣接する商業施設「la kagu」において、漫画家の萩尾望都さんと志村洋子さんとの「色の神秘、キモノを着るという精神の贅沢」と題した対談イベントも開催の予定です。お二人に色や着物について、あるいは、染めること、機で織ることの醍醐味などについて、縦横無尽にお話しいただきます。