Kangaeruhito HTML Mail Magazine 713
■[特集]ことばの危機、ことばの未来 ■最新号目次 ■編集部の手帖
 遠い約束

 2002年に創刊され、15年にわたってご愛読いただきました季刊誌「考える人」は、4月4日発売の2017年春号をもって休刊することになりました。これまでのご支援に心より感謝申し上げます。どうもありがとうございました。
 
 2月15日に休刊決定のニュースが流れて以来、お電話、メール、SNSなどで多くの方から励ましや、休刊を惜しむメッセージ、また復刊を望む声をお寄せいただきました。嬉しいかぎりです。
 
 残念ながら、いますぐ復刊をお約束するわけにはいきませんが、新たな出版の可能性を探る努力は今後も続けてまいりたいと思います。タンポポの綿帽子のように、「考える人」の種子をつけた綿毛が風に乗って方々へ飛んでゆき、どこかで芽を吹き、必ずや黄色い花を咲かせるものと信じております。最終号の「編集部の手帖」には、そうした思いも綴りました。ご覧いただければ幸いです。
 
 先日、ばったり顔を合わせた同年代の編集者仲間に冷やかされました。「考える人」みたいな雑誌を作ってしまうと、病みつきにならないか? 一度この味を覚えたら、忘れられなくなるだろう、というのです。たしかに、そういう面は否定できません。1世紀以上の歴史と伝統を持つ出版社の基盤の上で、高いスキルを持った編集スタッフの力を借りながら、第一線の人たちの寄稿を仰ぎ、また創刊以来、単独スポンサーとして支援して下さった株式会社ファーストリテイリングの伴走を得て、思う存分に作ってきた雑誌です。手前味噌になりますが、WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)の日本チームを率いて戦うような醍醐味を満喫できたのは、編集者として大変恵まれたことだったと思います。この後の「考える人」ロスが心配になるほどです。
 
 その雑誌が長い眠りにつくのは何とも残念ですが、ともあれ最終号の発売にあたっては、ささやかながらフィナーレを飾る意味をこめて、読者の皆様との交流の場を持ちたいと思います。
 
 4月4日(火)から11日(火)までの1週間、青山・山陽堂ギャラリーで下記のイベントを開催いたします。
 
<また会う日まで『考える人』、これからもよろしく『Webでも考える人』>
4月4日(火)~11日(火)
平日11時-19時  土曜11時-17時  日祝お休み   
*イベント開催日および最終日は17時まで
 
 期間中は、私もできるかぎり会場に常駐するよう心がけます。また4月7日(金)19時からは、書評エッセイ「どんな本、こんな本」を連載して下さった医師でエッセイストの向井万起男さんとのトーク、10日(月)19時からはイタリア在住のエッセイストで「Webでも考える人」で「イタリアン・エクスプレス」を連載中の内田洋子さんとのトーク、翌11日(火)はこの日が批評家、小林秀雄の誕生日であることにちなみ、連載「小林秀雄の時」の著者、杉本圭司さんや、生前の小林秀雄をよく知る最後の担当者、新潮社OBの池田雅延さんらを招き、「小林秀雄を大いに語る」会を催したいと考えています。
 
 詳細につきましては、山陽堂HP、もしくは「Webでも考える人」で、最新情報をアップしてまいります。
 さらに、最終号発売の前日になりますが、4月3日(月)19時30分からは、大阪のスタンダードブックストア心斎橋店で、このメ―ルマガジンをずっとご愛読下さった中川和彦代表と私のトークイベントが予定されております。ふるってご参加下さい。
 さて、印刷物としての「考える人」は、いったんここで休刊となりますが、ウェブサイト「Webでも考える人」は存続してまいります。私に代わって編集長には、「新潮」副編集長の松村正樹が就任いたします。これまでご愛読下さった皆様の変わらないご指導、ご鞭撻をよろしくお願い申し上げます。
 
 そして、私事になりますが、私は「考える人」最終号が発売になる前に、3月末をもって新潮社を退社いたします。このメールマガジンを私がお送りするのも、今回が最後となります。2010年7月に編集長を引き継いだ時には6210人だったメルマガ登録者が、いつの間にか18273人(3月8日現在)に増えていました。週に1回の締切があったことと、感想を寄せて下さる皆様の声に支えられ、いつも新鮮な気持ちで、こつこつ書き続けることができました。たいへん感謝いたしております。

 ♪さよならは別れの言葉じゃなくて、再び逢うまでの遠い約束――と、先ほどからこの歌(作詞・来生えつこ)が、頭の中をグルグルまわっています。まさに「夢の途中」です。
 
 ここで私もひと息つきます。そして、深呼吸したら、また夢を追って歩き始めます。どこかできっと、改めてお会いすることになるでしょう。それを楽しみにしています。
 
 本当にありがとうございました。
 
 
「考える人」編集長 河野通和(こうのみちかず)
イラスト・二宮由希子
 



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