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こんにちは。「Webでも考える人」新編集長の松村正樹です。
今週からしばらく、自己紹介もかねて、日記を掲載したいと思います。46歳、入社24年目、文芸誌「新潮」副編集長と兼務で、「Webでも考える人」 編集長につきました。

4月3日(月)
3月末に退社した「考える人」前編集長の河野通和さんの机に自分の荷物を運ぶ。朝、河野さんから「昨晩、深夜まで片づけましたが、やり残しがあります。」とメールがきていて、事務連絡の用件なのに、勝手に深みを感じてしまう。

4月4日(火)
「考える人」第60号の発売日。「考える人」の15年」に通算60号すべての表紙や特集、対談・鼎談、全連載がカラーページでまとまっていて、眺めているだけでいろんなことを思い出す。ずっと自分は「考える人」のファンだったのだな、と思う。同時に、今後の「Webでも考える人」のヒントをいくつももらう。
最終号の特集「開講! 読みたい授業」は、人工知能(AI)が人間の知能を凌駕する「技術的特異点(シンギュラリティ)」以降に「生の根拠」があるかを問うもの。2045年だと言われるが、そのころ私は75歳、書物はどうなっているだろうか。
昨日からはじまった帯ドラマ「ひよっこ」と「やすらぎの郷」を録画で見る。岡田惠和氏と倉本聰氏の脚本のドラマが2017年に同時にはじまるとは!
両方とも面白い。「ひよっこ」の舞台の時代に、「やすらぎの郷」の「俳優たち」はスターになったわけだ。

4月5日(水)
兼任している「新潮」編集部が協力している川端康成文学賞、第43回の今年は円城塔さんの「文字渦」。新しく荒川洋治さんが選考委員に加わった。5名の選考委員によって、2016年を代表する短篇小説が選ばれた。

4月6日(木)
ケイシー・アフレックがアカデミー賞男優賞を受賞した『マンチェスター・バイ・ザ・シー』(5月13日(土)よりシネスイッチ銀座、新宿武蔵野館、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国ロードショー)の試写に行く。ボストン郊外で便利屋として生計をたてている男が、兄の死をきっかけに地元の海辺の町マンチェスター・バイ・ザ・シーに戻り、甥の面倒をみる。甥に向き合うことで過去の悲劇にもようやく対峙することができるようになる、という<喪失と再生>の話。もっと暗いかと思ったら、意外とユーモアに満ちていて、温かかった。試写室もすごく混んでいた。

4月7日(金)
「新潮」5月号の発売日。「考える人」初代編集長で、小説家として『火山のふもとで』や『沈むフランシス』の著作がある松家仁之さんの連載小説『光の犬』が第21回で完結した。北海道の家族をめぐる小説だが、はじめて三人称多視点で描かれ、描かれるエピソードは過去に戻ったり、未来にとんだり。意図的に時間軸と視点人物がシャッフルされている。少しずつ重ねられていくエピソードによって、次第にモザイクのように大きな絵が浮かび上がる趣向の大人の長篇小説。700枚を超える大作になった。よくぞこんな難しいことに挑戦したと思う。テーマが個人的な琴線にも触れて、自分にとって一生忘れられない作品になった。秋に単行本が発売になったら、どのように読まれるだろうか。
「考える人」のイベントをしていただいている表参道・山陽堂書店に顔を出す。河野通和さんと編集部のKさんに会ってほっとする。

4月8日(土)
小雨の中、ドライブして満開の桜を探す。

4月9日(日)
田中圭一氏の話題の漫画『うつヌケ』を読む。うつを抜けた田中氏自身や体験者へのインタビュー漫画。内田樹さんや宮内悠介さんも登場。現実に苦しんでいる人々への具体的かつ実践的なアドバイス、処方箋に満ちている。あなたが体験している個人的な苦しみは、罹病者が誰でも経験することなのだ、だから大丈夫だ、という強くて優しいメッセージが伝わってくる。

 

松村正樹

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