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2週連続の1位! 親として、あるいは子どもとして「言ってくれればよかったのに」と思った経験がある方も多いのでは。
私たちの身近に転がっている日用品と数千年前をつなぐ、画期的歴史&科学エッセイ! 今回はプラスチックに着目!
京都ならではのオーダーメイド文化を伝えるエッセイ。このあと、どんな「御つくりおき」が登場するのかも楽しみ。
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「考える人」に連載された苅部直氏の『「文明」との遭遇』が、11章中の4章を大きく加筆のうえ、『「維新革命」への道——「文明」を求めた十九世紀日本』のタイトルで先月末に、新潮選書より刊行されました。

この本は、明治維新で文明開化が始まったのではない、すでに江戸時代に日本の「近代」は始まっていたのだ、という視座から日本の近代史を書き直す試みです。読み終われば、江戸と明治がいかに地続きだったのかが体感されます。荻生徂徠、本居宣長、山片蟠桃、頼山陽、福澤諭吉、竹越與三郎ら、徳川時代から明治時代にいたる思想家たちを通観し、19世紀の日本が自らの「文明」観を成熟させていく過程を描きます。『丸山眞男』や『光の領国 和辻哲郎』などの著書で知られる日本政治思想史研究者で、毎日書評賞もとっている、現代日本を代表する知識人の一人、苅部直氏の渾身の一作です。ぜひ、ご一読ください。


以下、いつものように、先週の日記です。

5月30日(火)
本日、「新潮」で校了した三島賞の選評、受賞作の『カブールの園』を推した平野啓一郎さんの文章がいつになく熱い。タイトルが「傑作を推す喜び」。

「作者の才能はめざましく、しかもそのポテンシャルと今回の候補作の完成度との均衡が爽快だった。必ずしも似ているというわけではないが、私は上田岳弘氏の出現を思い出した。三島賞にとっては実に慶賀すべき受賞作であり、文学の未来に明るい光を感じた。」

もちろん、「褒めてある選評=いい選評」ではないけれど、平野さんのこの文章は読んでいて、思わずこちらもテンションがあがる。

6月20日には、神楽坂・新潮社の隣のla kagu にて、平野啓一郎さんと松浦寿輝さんの「時代の転換期の『名誉と恍惚』」という対談がある。最高の小説家の知性。まだチケットあるとのこと。平野啓一郎さんに会うのが楽しみだ。

5月31日(水)
編集部のSさんは、今日から宮田珠己さんの連載「東京近郊 スペクタクルさんぽ」の取材旅行へ。

新潮」校了最終日の私は、おそらく今年の収穫と呼ばれる小説のひとつ、町田康さんの『ホサナ』を読み終える。読んでも読んでも、先が見通せず、この先どういう展開になるのかわからない感じ、まるでダンテの『神曲 煉獄編』の中をさまよっているような感じ、誰かの見た悪夢の中を惑いながら歩いているような感じ、町田さんの小説ならではの感覚だと思う。「日本くるぶし」という超越的存在やら、光の柱が現れて歪む「国土軸」やら、なんだかわかるようなわからないようなものが出てくるのだが、意味を掴んだと思うと、すぐに宙づりにされ、意味が逃げてしまう。主人公は、知らず知らずのうちに窮地に陥る。救いを願う。とにかく面白い。

6月1日(木)
先週、ミュージック・ステーションで聞いたアイドル私立恵比寿中学の新曲「なないろ」、よくできた爽やかなポップチューンだと思って、少し調べたら、タイトル一つにも三重もの意味が重ね合わされているようで驚く。私立恵比寿中学については、タモリ倶楽部の鉄道特集によく出てくる廣田あいかさんがいるグループで、今年2月に松野莉奈さんが致死性不整脈で急逝したというぐらいしか知識がないのだが、「なないろ」というタイトルは、まず楽曲内では恋の始まりに世界が七色=虹のように見えることを表し、現実に残った7名のメンバーの再出発を示す。それだけならありそうだが、さらに、天国から彼女たちを見守る松野莉奈さんが7月16日(なな・い・ろ)生まれで、彼女の象徴でもあるらしい。なんと、ダブルミーニングならぬトリプルミーニングはすごくないですか。ずっと松野さんと番組で共演していたファンクソロユニット「レキシ」の池田貴史さんの作詞・作曲。想いとテクニック。こういう丁寧な仕事をする方なんだな。

6月3日(土)
虎ノ門の台湾文化センターにて、今年2月に30年後の日本を舞台にした『岩場の上から』を上梓した黒川創さんと、原発事故をテーマにした近未来小説『グラウンド・ゼロ 台湾第四原発事故』を刊行した台湾の新鋭作家・伊格言さんのイベント。二人の講演と対話。

福島第一原発事故後、台湾で第四原発の建設中止を求める運動が一気に高まったことを受け、伊格言さんは福島第一原発事故や台湾原発の入念な取材を行ない、本書を2013年に書き上げて、大きな話題となったそうだ。その第四原発の場所は、『鴎外と漱石のあいだで』で黒川さんが、1895年に日本軍が上陸し、「抗日記念碑」が建っている、と書いたまさしく同じ場所である、という不思議な符号——。

6月7日発売の「新潮」7月号から始まる黒川さんの新連載「鶴見俊輔伝」は、単に黒川さんが深く付き合った鶴見俊輔という人物の成長を編年で追うのではなく、時代そのものをとても多層的、多声的に描いている。東アジアの近代史への眺望を、無数の家族の重なりの上にとらえる。黒川さんにしか出来ない仕事になるだろう。

6月4日(日)
遅ればせながら、妻と娘と映画館で『美女と野獣』字幕版。最近のディズニーは物語に現代的な再解釈を加えるのが絶妙にうまい。
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