昼はそれぞれの場所で物乞いをし、夜になるとまた仲間を求めここに集まってくる子どもたち。


 のろのろと進む車の群れ、クラクションの間を駆けていく人々。フィリピン、マニラはいつものように喧騒に包まれていた。きらびやかなネオンから隠れた路地裏の暗闇に、彼らの“居場所”はあった。闇に紛れた子どもたちが、どろんとした目でこちらを見上げる。その手には小さなビニール。その場に漂う匂いからすぐにシンナーだと分かった。行き場を失い、路上で寝泊まりをしている子どもたちが、一人、また一人とこの場所へ“帰って”くる。

 そんな彼らの元に一人の警官が近づいていく。一瞬彼らの表情に緊張が走る。一人の少年が持っていたシンナーの染み込んだ布を取り上げると、「そんなに好きなのか? だったら食べてみろよ」とそれを少年の口に入れさせた。周りの子どもたちは特に驚いた様子もなかった。そんなことに慣れてしまっているから、と。

 今、フィリピンでは刑法の対象年齢を9歳に引き下げるための法案が審議されている。彼らの安心、安全が更に遠のいていく、その前に。大人たちは今、何をすべきだろうか。

青少年鑑別所の中。暗がりの部屋の中で、迎えにくる親のない子どもたちが取り残されていく。