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翻訳書『ダメ女たちの人生を変えた奇跡の料理教室』が好調で、著者も日本のメディアで引っ張りだこ! 訳者の村井さんも多忙を極める裏で、家族も頑張っていました。
昨年掲載された記事ですが、3週にわたってランクイン。国籍とはなんなのか。それによって引き裂かれてしまう人々もいます。
京都の老舗茶筒舗「開化堂」のカフェで一日店長を務めることになった入江敦彦さん。当日は自らお茶を点ててふるまい、お店も大繁盛。思わぬゲストも来店して……
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7月24日(月)
雑誌「つるとはな」5号を入手、早速読む。「考える人」初代編集長の松家仁之さんが編集している。
「つるとはな」にしかないこの手触りをなでるように楽しむ。
いつになくこの号は80歳、90歳以上の方が多く取り上げられている印象だ。
20世紀半ば、アルフレッド・ウォリスという画家は、70歳になってから絵を描き始めたという。読んでいると、いつも自然と未来に可能性と希望を感じる気持ちになっていく。

7月25日(火)
佐々木敦さんがかかわる三鷹のSCOOLというイベントスペースにて、新刊『茄子の輝き』刊行記念で滝口悠生さんと柴崎友香さんのトークイベント

柴崎さん、昔から話が面白かったが、ここ数年、お話するときの小説への問いの立て方、光の当て方がますます自在になって、聞くたびにはっとさせられる。滝口さんの小説の中の会話になぜカギカッコが少ないのか、という指摘から、小説とはとどのつまり「伝聞」なのではないか、という、大きな問いがたてられる。

さらに、ポール・オースターの妻としても知られる小説家シリ・ハストヴェットが、柴田元幸さんの『ナイン・インタビューズ 柴田元幸と9人の作家たち』で述べた、「小説を書くとは、決して起きなかったことを思い出すこと」という言葉を、柴崎さんが引用する。二人とも、モデルであった人物を小説化すると、記憶が自分が創作したことと入れ替わるのだという。

これぞ、同じ小説言語をもったもの同士でしかありえない豊かな対話だ、と思わされる空間だった。

7月26日(水)
春日武彦さんの『鬱屈精神科医、お祓いを試みる』を読む。前作『鬱屈精神科医、占いにすがる』につづき、この本も面白い。

ほかの精神科医や心理療法士の書いた本に比べても、春日さんの文章は自分の心の奥底を見つめかたが私小説作家に近い。正体の見えない不全感、不安感から何かにすがろうとし、その自身の心の動きをなるべく正確に記述しようとする。

事実の奥底にある非現実の世界にまで探索を深めた『田紳有楽・空気頭』などで知られる私小説作家・藤枝静男がもっとも好きだという、春日さんらしい筆致である。

「……わたしにとっての「いちばん辛いこと」とは何なのか。母親に賞賛され誇りにしてもらえる存在としての自分になれない(なれなかった)——そんな悲しみ、あるいは無力感である。」(『鬱屈精神科医、お祓いを試みる』)

「人は誰でも(多かれ少なかれ)、執着に支配されている。そこを被害的なニュアンスで言い直すならば、「呪いに支配されている」。呪いのパワーで人は行き、苦しみ、ときにはそこに屈折した悦びすら見出す。」(同)

春日さんは両親を亡くしている。それでも、人は、両親に、そして過去に支配される。精神科医でもみずからは呪縛から逃げられないのだ。

7月27日(木)
橋本治さんの『巡礼』『リア家の人々』につづく大きな長篇小説「草薙の剣」560枚。昭和篇を「新潮」9月号(8月7日発売)に、平成篇を「新潮」10月号(9月7日発売)に掲載するのだが、その「昭和篇」をようやく校了した。

桃尻娘』でデビューしてから40年、「草薙の剣」は橋本さんの《デビュー40周年記念作品》である。執筆をはじめてから約2年半、一か月に約20枚のペースで少しずつ書き進めてもらったものが、ようやく結実した。

橋本さんも、ようやく「代表作」と言えるものが書けた、と言っていたが、それを読んだ矢野編集長の興奮ぶりがすごかった。担当編集者冥利につきます。以下、矢野さんが書店向けに書いた熱いメッセージです。

「橋本治さんがスゴい小説を発表します。日本の近現代と日本人の「きもち」を一作に凝縮し、しかも、読者が「まるで私の人生が小説になったみたいだ」と共感できる——こんな小説を私は初めて読みました。橋本治さん(1948年生)は、デビュー作『桃尻娘』以来、唯一無二の作品世界を開拓してきた小説家であり、『窯変源氏物語』等で名高い古典文学の達人であり、英知に充ちた日本(日本人)論で熱い支持を得る知の巨星です。そんな多面的で怪物的な才能が本作に結晶化しました。物語の横糸は、戦前から平成にいたる日本の軌跡。縦糸をなす登場人物は、10代から60代まで世代の異なる六人。特別な人はいません。普通の日本人のリアルな人生が、まるでタペストリーのように壮大な物語を生み出します。
私は夢中で読みながら、「この登場人物は自分みたいだ」「親や祖父母みたいだ」「みんな懸命に生きてきたんだな」という思いに包まれ、幾度も涙が滲みました。
どうかご注目ください!」

7月28日(金)
月曜日24日にNHKで放映された「プロフェッショナル 仕事の流儀」宮沢りえの回を見る。先日の吉田大八演出「クヒオ大佐の妻」(東京芸術劇場シアターウエスト)の舞台裏。作品のテーマである欧米コンプレックスの感覚に乏しく、役作りに苦慮する宮沢りえさんが生々しく、肉声に触れた気になるドキュメンタリーだった。

そういえば、映画「クヒオ大佐」を、つい最近はじめて見たのだが、吉田大八という映画監督の特質、テーマが色濃く現れたフィルムだと思う。8年前の堺雅人、満島ひかり、安藤サクラ、新井浩文のアンサンブルもよかった。
 
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