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暑くて食欲がないときには、新鮮なチーズとトマトに、氷を入れた赤ワイン! 〈怠けて美味しい〉なんて最高!
通称『ダメ女教室』の著者キャスリーンは、先週末「世界一受けたい授業」にも出演。村井さんもおおわらわの日々を過ごしました。
〈経験とは、数の問題ではないのだ。正岡子規は、ずっとひとつところに寝たきりだったのだ、あれを経験というのだ〉と話した小林秀雄の真意は
編集長 今週のメルマガ
 
旬のミュージシャン・クリエイターが影響を受けた本について書く「Rhythm&Rhymes(リズム&ライムズ)」という新しい連載をはじめました。配信一回目は、14年ぶりに復活を果たし、アルバム「何度でも新しく生まれる」が話題のMONDO GROSSO 大沢伸一氏。その中の楽曲が、窪美澄氏の『晴天の迷いクジラ』のどこにインスパイアされたかを書いてくれました。


7月31日(月)
スナック研究序説 日本の夜の公共圏』という不思議な本を読む。谷口功一スナック研究会編著。

「スナックは、全国津々浦々どこにでもあるが、その起源・成り立ちから現状に至るまで、およそ「研究の対象」とされたことは、未だかつて、ただの一度も無い。本研究では、社会的にはおよそ真面目な検討の対象とはされて来なかった、このスナックという「夜の公共圏」・「やわらかい公共圏」の存在に光を照てることで、日本社会の「郊外/共同体」と「社交」のあり方を逆照射することを目指すものである。」(スナック研究会ホームページより)

こういうタイプの本は、アカデミズムの領域だと社会学の研究者によるものが多いが、スナック研究会に所属しているのは、代表の谷口功一さん、河野有理さんはじめ法学系の方たちである。谷口さんの専門は法哲学、河野さんの専門は日本政治思想史。『「維新革命」への道』が話題になっている苅部直さんもメンバーに入っていて、正直びっくりした。

この人たちが、都築響一さんの『天国は水割りの味がする』や玉袋筋太郎さんの『スナックの歩き方』『浅草キッド玉ちゃんのスナック案内』を、スナックを主題として書かれた書籍として分析する面白さ。都築響一さん、苅部直さん、谷口功一さんの座談会も新鮮だった。

8月2日(水)
軽井沢の宮本輝さんの別荘へ行く。軽井沢はミストサウナのような霧だった。

兼任している「新潮」で宮本輝さんのお父さんの人生をモデルとした大河小説『流転の海』を連載しているのだが、現在最終第9部の「野の春」を連載中。来年にも完結しそうである。

第1部『流転の海』の連載が「海燕」で始まったのは1982年だから、35年間、宮本さんはこの小説を書いていることになる。私が担当になったのは「新潮」に異動した2000年4月。『天の夜曲』の連載11回目だった。それから17年。日本の戦後そのものを描いたこの小説にかかわれたのは大きな幸運である。

8月3日(木)
妻が久々に韓国歴史ドラマにはまっている。高麗の少女が元の皇后に登りつめる姿を描く「奇皇后」。はじめはテレビ東京で放映されている吹替え版を見ていたが、続きが気になって、hulu配信の字幕版を見はじめ、今週頭に全51話を見終わった。今は、またテレビ東京版で反芻しながら、どこがカットされているかまでチェックしはじめている。

韓国歴史ドラマは私も「チャングム」「イ・サン」「トンイ」「馬医」あたりは見ていた。創作部分も多いのだろうが、表向き平和時の宮廷の政争の描き方が想像力を刺激する。

妻が飽きるまで、しばらく彼女のアマゾンタブレットから流れるドラマの韓国語を子守唄に寝ることになりそうだ。

8月4日(金)
下北沢のB&Bで、島田雅彦さんと松浦寿輝さんのトークイベント「AIは人類との共生の夢を見るか?」 。

島田雅彦さんの新刊『カタストロフ・マニア』は、「太陽のしゃっくり」を引き金に原発危機、感染症の蔓延、ライフライン停止が同時発生した絶体絶命の状況下で、人類がいかに生き延びうるかを描く、2036年を舞台にした近未来SF小説。松浦さんも短篇「BB/PP」で我々の隣人としてのAIの姿を描いている。

将来的に、AIが素晴らしい小説を書く可能性はあるだろうか、という話が面白かった。島田さんが言うには、ベートーベンの第九からベルリオーズの幻想交響曲まで実は10年間もない。それなのに、二曲を聴くとだいぶ時代が変化している気がする。この音調の変化は、ベルリオーズが狂ってたからおきたのだと思うが、そういう芸術の爆発的な変化は、AIにはおこしにくいのではないか、と。松浦さんは、芸術の創造の根底には、人間ならではの死の欲望があるのではないか、という。

8月5日(土)
アメリカのドキュメンタリー映画「ギフト 僕がきみに残せるもの」(8月19日〜、ヒューマントラストシネマ有楽町&渋谷ほか)のサンプルCDをいただき見てみる。

2011年にALS(筋萎縮性側索硬化症)で余命を告げられた元NFLのスター選手。直後に妻の妊娠が判り、生まれてくる息子にビデオダイアリーを撮り始める。今作は、それを元にした映画である。感動的でも綺麗事でもない、終わりなき日常の残酷さがそのまま映し出される。病気がほんの少しずつ男の自由を奪う。その剥き出しの生々しさに圧倒された。

来週のメールマガジンはお休みいたします。次回の配信は、8月24日(木)です。
 
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