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ご自身のルーツから、「私は”何人”か」と悩んだこともある安田さん。彼女がたどりついた答えに多くの共感の声が。
編集長 今週のメルマガ
 
文芸評論家・加藤典洋さんと翻訳家・上岡伸雄さんの対談「9・11後の世界と敗者の想像力」を4分割で一挙配信しました。

この対談については、メールマガジン728号にも書きましたが、小林秀雄賞の選考委員である加藤典洋さんと、ドン・デリーロやフィリップ・ロス、さらに今年話題を呼んだ、ベン・ファウンテン『ビリー・リンの永遠の一日』の訳者で知られるアメリカ文学者・上岡伸雄さんが「敗者の想像力」というキーワードをめぐって、示唆に富んだ対話を繰り広げます。

さらに『中動態の世界』の第16回小林秀雄賞受賞を記念して、國分功一郎さんにインタビューしてきました。本を書くに至る動機から、出した後の反響、小林秀雄についてなどかなり率直に語っていただいています。あわせて、ご一読ください。

9月25日(月)
分け入っても分け入っても日本語」を連載している飯間浩明さんの文化庁「国語に関する世論調査」に対してのツイート(22日付)を改めて読む。長くなるが、引用したい。

文化庁「国語に関する世論調査」の項目の意図が不明です。「存亡の機」を使う人が少ない事実がどんな文教政策に役立つのか。私が「存亡の危機」誤用説を日本語本で見たのは昨年でしたが、司馬遼太郎・阿川弘之など名文家も使っているし、「存続か滅亡かの危機」という意味で、不自然でもありません。

— 飯間浩明 (@IIMA_Hiroaki) 2017年9月21日

 

熟語の語法のひとつに「帯説(たいせつ)」というのがあります。「一旦緩急の際は」という表現は「一旦危急の際は」ということで「緩」に意味はない。「恩讐の彼方」は「讐(うらみ)」だけに意味があって「恩」にはない。「存亡の危機」も一方だけに意味があると解してもいい。これは別解です。

— 飯間浩明 (@IIMA_Hiroaki) 2017年9月21日

 

「本来は『存亡の機』が正しい」というのは「本来」の捏造でしてね。昔は「危急存亡の秋(とき)」「存亡の淵」「存亡の瀬戸際」「存亡の岐路」などとも言ったし、「死生存亡の険難」(中江兆民)とも言った。その中で「存亡の機(=おり)」はまだしも「存亡の危機(=あぶないおり)」に近いです。

— 飯間浩明 (@IIMA_Hiroaki) 2017年9月21日

 

「存亡の危機」のように、長らく誰もが平和に使ってきたことばが、ある日突然、日本語本などで「誤用だ」と言われることがあります。それを文化庁調査が取り上げ、ニュースになると、「本来の言い方は○○」という(造られた)ストーリーが広まる。何の罪もないことばにケチがついてしまうわけです。

— 飯間浩明 (@IIMA_Hiroaki) 2017年9月21日

文化庁調査の問題点は「昔は正しい言い方が1つだけあり、後にそれが崩れてきた」というストーリーのもとに調査をしていることです。事実はそうではなく、昔は「そうとも言う」という言い方が複数あり、今もあるだけの話です。この種の調査項目は千害あって一利なしです。

「千害あって一利なし」は

— 飯間浩明 (@IIMA_Hiroaki) 2017年9月21日

「○○は誤用だ」という主張に対し、「でも、ことばは変化するものだから」という反論は、正しいのだけど、説得力を持たない場合が多い。批判する人はその変化自体を批判しているからです。代わりに「100年前からあります」「本来とされる言い方も新しい」など、事実を示したい。これは効果的です。

— 飯間浩明 (@IIMA_Hiroaki) 2017年9月22日
飯間さんの力強い言葉に強く同意する。

「言葉」は重要で繊細な道具だが、それだけに「正しい言い方」を誰かが認定し押し付けるようなものではないはずだ。恣意的な「正しさ」の押し付けには敏感でありたい。

9月26日(火)
先週出たばかりの伊坂幸太郎さんの書下ろし新刊『ホワイトラビット』を読みおえる。

自社本なので宣伝っぽく聞こえてしまうかもしれないが、知的で贅沢な時間を過ごせる見事なエンターテインメント小説だった。はっきり傑作だと言える。伊坂さん、これだけ書いてきて、まだ新しい読後感の小説を書けるのか、と唸る。

ゆっくり読もうとしていたが、読みはじめたら止まらなかった。抜群に展開が面白いせいもあるが、止まらなかったのはそれだけが理由ではない。

人質立てこもり事件を中心にした出来事が、複数の登場人物の視点で語られるのだが、普通の多視点三人称小説と違い、読者が自己を同一化する主人公的な視点が薄い。
さらに同時進行で事件の外から内からいろんなことが語られるのでついつい先が気になる。
本文268ページの中に章番号など区切りがないので、ここまで読んだら今日は寝ようというような区切りのポイントがない。
いかにも思わせぶりな伏線めいた魅力的な情報が次々と出て来るので、覚えているうちにラストまで読みきらないと損だという気になる。

以上の4つの理由から、この本を読み終わらなければ他のことが手につかなかったのである。
こういう小説って「書下ろし」ってシステムでしか生まれえないものではなかろうか。文章のリズムに書下ろしならではの勢いがある。

9月27日(水)
今年の4月から、定期券をクレジットカード・パスモ一体型に変えた。パスモの残高が2,000円以下になると自動的に3,000円がオートチャージされる仕組み。これによって、飛行機、新幹線、自家用車以外の移動は、JRも私鉄も東京メトロ(地下鉄)も一枚でできることになった。

使用する前は、きっとよく移動する月とあんまり移動しない月でずいぶん違いがあるのだろうな、と思っていたのだが、ふたをあけたら、6,000円引き落としの月と9,000円引き落としの月しかない。平均月7,500円として1年間で9万円。10年間で90万円。なんだろう、この平均化された退屈な人生。便利さと引き換えに、自分が籠の鳥に思える、そんな秋……。

9月28日(木)
選挙前で政治状況がみるみるうちに変わっていく。

「希望の党」の党首となった小池百合子が記者会見で、村上龍さんの17年前の小説『希望の国のエクソダス』に出てきたような言葉を発する不思議。これは本当に現実なのか?

ツイッターで、公開中の映画のタイトルをもじった「岸信介になりたいボーイと出会う政党全て狂わせるガール」という表現を見て苦笑する。

9月29日(金)
先週、白水社のSさんから聞いた、岩松了さんの新作「薄い桃色のかたまり」を見に行く。久しぶりに、与野本町の彩の国さいたま芸術劇場へ。

亡くなった蜷川幸雄が、55歳以上の役者限定で2006年に作った、さいたまゴールド・シアターの公演をはじめて見る。2013年には初の海外公演に成功、パリや香港でも公演をおこない、現在団員は66歳から91歳までの37名とのこと。

今作はさいたまネクストシアターの若い役者も参加して、被災地の村ひとつを舞台上で作り上げる。30人ぐらいの役者が一堂に舞台にあがるシーン、きちんと一人一人に役割ではなく、役柄が与えられていて、圧巻だった。老いた役者と若い役者がダンスミュージックに載せて踊り狂うシーンはすごい迫力。見ているとだんだんと若い役者と老いた役者の体つきが違うことすら、面白く思えてくる。
 
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