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編集長 今週のメルマガ
 
雑誌「考える人」で長らく続いた人気連載、平松洋子さんの「日本のすごい味」が、『日本のすごい味—おいしさは進化する—』『日本のすごい味—土地の記憶を食べる—』の二冊の本として刊行されました。

「おいしさは進化する」篇ではウニ弁当、六花亭のバタサンド、鮎、栃尾のあぶらげ、鴨鍋……など、東日本のすごい味が集合。定番の、究極の味ができるまでの創意と手間にあらためて唸らされます。表は麻布野田岩の蒲焼き、裏は近江屋洋菓子店のいちごショートケーキのカバーが目印です。

「土地の記憶を食べる」篇には、伊豆のわさび、静岡のクラフトビール、岐阜の栗きんとん、京の豆餅、天橋立の缶詰、奈良漬、滋賀の熊鍋、大阪の蒲鉾、和歌山の梅干、高知の柚子、長崎・五島の手延べうどん、沖縄のイラブー汁、と、静岡から沖縄まで15の探訪記を収録しました。
日本の食文化を再発見する二冊の刊行を記念して、平松洋子さんのサイン本を抽選でそれぞれ1名様にプレゼントいたします。

応募フォームはこちらです。ふるってご応募ください! 期間は10月31日(日)23:59まで。
10月10日(火)
仙台から今年度の新潮新人賞受賞者、「蛇沼」の佐藤厚志さんに来ていただき社内で簡単な授賞式、編集部でお祝いの会(「百年泥」の石井遊佳さんはインド在住なので欠席)。佐藤さんは現役の書店員だそうだ。お店のツイッターを見ると、大いに盛り上げてくれている。

本日発売「新潮」にて、新潮新人賞発表。受賞された佐藤さんはなんと、ジュンク堂書店仙台TR店スタッフ!そして、異動前は丸善仙台AER店に勤務していたということで、お祭り状態です!!

お祝いの会には、昨年の受賞者の鴻池留衣さんと古川真人さんも駆けつけた。去年は新人だった二人がかなり先輩作家に見える。実作者の先輩としてアドバイス、編集者には言えない実践的なことを言ってくれる。

10月11日(水)
谷崎潤一郎賞の授賞式の日。受賞作『名誉と恍惚』の松浦寿輝さんの担当として、同じホテルでの二次会の仕切りまで動き回った。

先日のメルマガでも書いたが、同じ作品で今日が谷崎賞授賞式、明日がドゥマゴ賞の授賞式と、まるでアメリカ映画の賞レースのような慌ただしいスケジュールである。

芥川賞や直木賞といった新鋭作家に対する著名な文学賞のあと、中堅やベテランに与えられるタイプの賞が出版社や新聞社や地方自治体にあるのだが、なかなか賞にめぐまれない作家もいれば、かなり賞に縁がある作家もいる。松浦寿輝さんは後者で、そのことについて「週刊新潮」で書評家の豊崎由美さんが書いていた(現在、書評サイト「Book Bang」で読めます)。

「文学賞に恵まれている作家はいて、たとえば堀江敏幸がそう。一九九九年に『おぱらばん』で第十二回三島由紀夫賞を受賞したのを皮切りに、十一もの文学賞に輝いている。その堀江を上回るのが松浦寿輝だ。

松浦は詩人、評論家でもあるので、その分、受賞できる賞は多い。詩に対しては高見順賞、萩原朔太郎賞、鮎川信夫賞が、研究・評論に対しては吉田秀和賞、三島由紀夫賞、渋沢・クローデル賞、芸術選奨文部大臣賞、毎日芸術賞が、小説に対しては芥川賞、木山捷平文学賞、読売文学賞が授与されており、二〇一二年には紫綬褒章まで受章している。

と、ここまでの受賞数が十二で、すでに堀江を超えているのだけれど、最近、千三百枚の大長篇『名誉と恍惚』で、第五十三回谷崎潤一郎賞と第二十七回Bunkamuraドゥマゴ文学賞を受賞。堀江とちがって、小説に関する文学賞受賞の余地を残しているだけに、今後、どれだけ記録を伸ばしていけるか、わたしのような文学賞ウォッチャー注目の的の御仁なのだ。」

文学賞というものは、受賞者を励ますものであるが、同時に担当編集者も励まされる。本が売れたときと同じく、報われる思いがする。

10月12日(木)
松浦さんが受賞した14個目の賞、ドゥマゴ賞の授賞式の日。ドゥマゴ賞は、出版社や新聞社ではなく、東急文化村が運営しているので、だいぶ趣きが違う。会場もホテルではなく、渋谷のBunkamura。

選考委員も毎年一人がおこなう。この日も、先に選考委員の川本三郎さんと、松浦さんの公開対談がおこなわれ、その後、Bunkamura内「ドゥマゴパリ」テラスで授賞式、小宴が開かれる。珍しい屋外での授賞式で、雨が少し降ったが、華やかな会だった。シャンパンで乾杯し、チョコレートと受賞作のお土産もいただく。『名誉と恍惚』は定価税込5400円の超大作なので、たくさん買ってもらって、新潮社としてもだいぶありがたい思いをした。

東急文化村ならではの洒脱な賞が、もう27年も続いているというのは出版界にとってかなり貴重なことだと思う。セゾン文化は渋谷から消えつつあるが、東急の文化がこの土地の大人を支えている。

10月13日(金)
角田光代さん訳の『源氏物語 上』(池澤夏樹=個人編集 日本文学全集)を読み始める。面白い。

この訳には、ほかの『源氏物語』の翻訳を読んでいるときに、そこはかとなく漂う高校の古典の勉強の延長感がない。『源氏物語』は主語や人称代名詞がかなり省略されており、複雑な敬語によって、登場人物の身分や関係や距離が表されている。だから「敬語」の翻訳が一番大事なんて学者によく言われるが、逆になるべく「敬語」を省き、「読みやすさ」を重視したところに角田さんの訳の新しさがある。

文章が一文一文、角田さんの微細な補修によって整わされ、「源氏物語」から作者=紫式部の声がよみがえる。出てくる登場人物たちにとても感情移入がしやすい。堅苦しくない。「源氏物語」を改めて化け物のように力をもった物語だと感じる。

10月14日(土)
小学生のときに家族旅行で寄って以来、37年ぶりに富山駅へ。大宮から新幹線で二時間かからない。思ったより近い。

担当している宮本輝さんと、俳人の堀本裕樹さんの公開対談がある。高志の国文学館で今日から12月4日までひらかれる開館5周年記念特別展「宮本輝−人間のあたたかさと、生きる勇気。」を記念してひらかれたもの。対談のテーマは、宮本さんの小説の大きなテーマの一つ、エッセイ集『命の器』にも書かれた、人が人と出会うことの不思議、人間の宿命について。ずっと宮本さんのファンだった堀本さん、感極まって冒頭から泣いてしまう。

宮本輝さんは、『流転の海』の第四部『天の夜曲』で描かれたように、子どものころに富山にいたことがある。芥川賞受賞作『螢川』の舞台も富山だ。

富山の北日本新聞社とは『螢川』の頃からご縁があり、北日本文学賞の選考委員も長年続けてきた。『ひとたびはポプラに臥す』や『田園発港行き自転車』という作品も北日本新聞社なくては生まれなかった仕事である。『流転の海』シリーズはじめ新刊を上梓される度にインタビューや記事で大きく取り上げてくれるので、我々にとってとてもありがたい新聞社。既知の文化部長寺田幹氏をはじめ、この機会にみなさんに頭を下げる。「新潮」で『流転の海』シリーズの書評をお願いした堀本裕樹さんにも挨拶が出来た。

対談終了後、堀本さんや文藝春秋のTさんと高志の国文学館へ。現役の小説家の文学展でこれだけのことが出来るのか、と驚く充実の展示。各作品の直筆原稿から、初出雑誌やら、愛用の万年筆やグラスやら、長年担当している私もはじめて見るものが沢山あって、学芸員の方々の情熱にうたれた。
 
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