切り立った岩の割れ目から生えだし、真っ白な花びらを広げるはまぎくたち


 三陸の浜辺でこの季節に出会える花がある。冷たい風にも動じず、そして静かに海を見守るその出で立ちにいつも心惹かれ、シャッターを切ってきた。特にその名を気にしたことはなかったが、地元の方が「はまぎく」という名前と共に、花言葉を教えてくれた。「逆境に立ち向かう」。

 それは批判や激しい抵抗だけを示すのではなく、まずは動じず、自身とも対話をしながら冷静に思考し続けること、そして未来への選択肢を手放さないことなのだと、この花が教えてくれたように思う。恐らくそれは、民主主義の礎でもある。

 何を逆境と感じるかはきっと、何を身近に感じるのかと密接につながっている。労働環境、少数者への差別、生活保障、テロ対策。思えば私が政治に興味を持ちだしたのは、レズビアンの親友ができたことだった。「人を好きになるだけで、私は笑いものにされるかもしれない」といつも怯えていた彼女を見て、性的少数者と呼ばれる人々であっても、生き心地のよい社会になるにはどうしたらいいか、と考えるようになったのが原点だった。家族の縁で通うようになった三陸沿岸も、私にとって大切な場所だ。繰り返される「2020年までに復興終了」という言葉は、まだかさ上げ工事が続き、コミュニティをこれから築かなければならない街の声に耳を傾けたものだろうか。

 だからこそ投票とは、「変えてほしい」ではなく「変えていきたい」と、私たちが意思を示す場なのだと思うようになった。そしてそれはエピローグではなく、プロローグ。「あなたたちがどんな取り組みをするのかを、選んだ私たちはこれからも見ています」と、私たちの関りはむしろこれから問われている。

岩手県大船渡市、小石浜。霧の向こうに広がる世界に、目をこらす