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村井さんちの生活」が大人気の村井理子さん、このたび新しい翻訳が新潮文庫から発売されることになりました。

タイトルはずばり『人間をお休みしてヤギになってみた結果』! 著者のトーマス・トウェイツは『ゼロからトースターをつくってみた結果』(村井理子訳、新潮文庫)で一躍話題の人に。さらに、この「ヤギ男」プロジェクトでなんと2016年にイグノーベル賞受賞!!

人間をお休みするってどういうこと? ヤギになったってどうやって!? 「Webでも考える人」では、この気になる本の冒頭部分を特別に公開します!

10月15日(日)
映画「ナラタージュ」を見る。行定勲監督。落ち着いたトーンで想像以上に心に残るものがある恋愛映画だった。登場人物たちの静かな激しさが忘れられない。

なんと昨日日帰りで行った富山が舞台になっていた。直に見た風景が、シックな映像と二重写しに見える。古い日本家屋が映える。

原作は島本理生さんの21歳のときのはじめての書下ろし長篇小説だ。この単行本が刊行され、ベストセラーになったときは驚いたが、今振り返ると才能のある小説家の若いときの作品ならではのパワフルさに満ちている。シンプルなプロットのようで複雑な小説だ。

主人公たち3人の過剰な感情を、そしてなかなか交わらない眼差しを、行定監督は丁寧なタッチで掬いあげていた。

それにしても、こうして立て続けに有村架純さんの出演作を見ていると、やはり有村さんって、うまいですね。ほぼ同世代の高畑充希さんが攻めのうまさだとすると(役の話し方、たたずまい、癖まで、スタニスラフスキー・メソッド的に毎回変えてくる。ミュージカル女優としても一流)、有村さんは守りのうまさのように感じる(役柄によって表情を微細に変える。どの役をやっても、感情を抱えながら耐える表情に、いつの間にか観客が感情移入し、彼女を見守らずにはいられない)。

10月16日(月)
三日連続の雨。どんどんと気温が下がり、冬の気候に。先週飲んでいた冷たい飲み物がまったく飲みたくなくなっている不思議。人間の欲望はかなりの部分、気候に支配されている気がする。

〆切本2』を手に取る。1冊目の「〆切本」の面白さについては前編集長・河野通和がメルマガで触れている。それなのにまた触れたくなったのは、「webでも考える人」のツイッターでも管理人の編集部Sさんがつぶやいていたが、表紙カバーに「とうとう新潮社社長の私邸監禁」という聞き捨てならぬ文字が踊っていたからだ。

もしやと思って読むと、やはり五味康祐が「週刊新潮」創刊時に「柳生武芸帳」を書いたときのエピソードだった。
「自宅においては埒あかんということだったろうが、といってホテルや旅館でも駄目と分ったので、とうとう今の新潮社社長の佐藤亮一さんの私邸にとじこめられ、三日間、一歩も外に出ず、ない智慧をふり絞ってどうにか書いた。一回の枚数十五枚である。」
この話、入社してすぐ「週刊新潮」の直担当だったMさんに聞いたのだが、Mさんの話では、缶詰にしたのは、社長私邸ではなく会社すぐそばの「新潮社クラブ」。五味さんはちょっと目を離すと逃げてしまったり、部屋を開けたら、知らない女の子らと三人で寝てたり、と毎週大変だったとか。

ところで社内には、野坂昭如氏が「小説新潮」創刊500号に穴をあけ、当時の川野黎子編集長が怒りでペーパーナイフをソファーに突き立てた、という伝説が残っている。そのときの野坂さんの読者への詫び状(原稿用紙のまま印刷された)もこの本には採録されている。小説新潮のバックナンバー以外では読めないはず。はじめて伝説の文章を読んだ。

10月18日(水)
鎌倉の高橋源一郎さんの仕事場に新しい仕事の打ち合わせに、「新潮」編集部の杉山くんと行く。大船あたりから時間の流れかたが変わる気がして、鎌倉に着くと少し気持ちがリラックスしている。

高橋さんが7月から9月まで毎日「朝日小学生新聞」に連載していたはじめての児童小説「ゆっくりおやすみ、樹の下で」について話す。挿絵は今日マチ子さん。小学5年生の女の子が鎌倉の祖母の家で夏休みを過ごすうちタイムスリップする話だ。

そして、来年「新潮」4月号から始まる新しい小説について話す。平成の終わりに、「昭和」という時代が主人公の小説がスタートしそうだ。第1回三島由紀夫賞の受賞者で、ジェイ・マキナニー『ブライト・ライツ、ビック・シティ』の訳者でもある高橋源一郎さんと新潮社の縁は深いが、小説の単行本は『ゴヂラ』と『さよならクリストファー・ロビン』の二つしかない。三つ目の仕事は壮大なものになりそうだ。

10月19日(木)
戯曲集『薄い桃色のかたまり/少女ミウ』を刊行したばかりの岩松了さんへの柴田元幸さんの独占インタビューを当サイトに掲載することになり、社内でその収録をする。インタビュー、対談の名手としても知られる柴田元幸さんだが、英米文学/文化が絡んでないものはかなり珍しいのではないか。

柴田さんは、東京乾電池に岩松さんがいたころから、岩松さんの芝居を見ていて、1999年のシアターコクーン「かもめ」のときに会って以来、本を送ったり、芝居に招待したり、一緒に食事をしたりの関係を続けているとのこと。舞台のパンフレットで話したことはあるが、雑誌などでの対談(インタビュー)ははじめてだそうで、とても面白いものになった。

岩松さん、話を聞けば聞くほど面白い方で、人柄に魅了される。
 
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