webでも考える人メールマガジン
webでも考える人 ランキング
能楽師と独立研究者の異色対談! 「能とは人間を変えるメディアである」とはどういうことか、気鋭の哲学者・下西風澄さんがレポート。
無職33歳、お先真っ暗! 人間をお休みしてヤギになる!? 奇天烈なアイディアを実現させて、イグノーベル賞受賞! 抱腹絶倒の試し読み!
新米のおいしい季節、村井理子さんのママ仲間が握ってくれたおにぎりは、ある理由からとりわけ美味しく感じられたそう。じんわりとした読後感。
編集長 今週のメルマガ
 
詩人・谷川俊太郎さんに文芸ジャーナリスト・尾崎真理子さんが3年にわたるロングインタビューを敢行! 雑誌「考える人」と「新潮」掲載の原稿を全面改稿し、書下ろしを加えた600枚が『詩人なんて呼ばれて』(語り手・詩)谷川俊太郎/(聞き手・文)尾崎真理子として単行本になりました。

人生の軌跡、女性たちとの出会い、創作の源泉など“国民的詩人”の核心に迫った会心の一作です。書き下ろしの詩1篇と全2500作から厳選した詩20編を収録。

谷川俊太郎さんと尾崎真理子さん両名のサイン入り単行本を抽選で1名様にプレゼントいたします。ご応募はこちらから。

10月30日(月)
映画『ブレードランナー2049』を見る。今年は『ツイン・ピークス』の続編につづき、『ブレードランナー』の続編、と自分の青春期の原体験を追認しているような気分になる。『スターウォーズ』サーガにはそこまで思い入れがないのだが、デヴィッド・リンチやフィリップ・K・ディックには恩義を感じている。

面白かった。こんなに登場人物がみな淋しくせつないとは……。

ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督、『プリズナーズ』『ボーダーライン』『メッセージ』、そして『ブレードランナー2049』と勢いがすごい。複雑なものごとを安易にわかりやすくしないで見せているのに、不思議と腑に落ちる。芸術性と娯楽性のバランスも素晴らしい。

カズオ・イシグロの『わたしを離さないで』も、よく考えると『ブレードランナー』や原作(原案?)のフィリップ・K・ディック『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』がなかったらありえない気がする。カズオ・イシグロは『ブレードランナー2049』を見るだろうか。

10月31日(火)
編集部の進行係Sさんの誕生日。ハッピー・ハロウィーンにしてハッピー・バースデー。

しかし、誕生日だというのになんだか不満顔。聞けば、生まれてこの方ずっと10/31は自分が主役だと思ってきたのに、ここ数年、日本でもハロウィンが大々的に祝われるようになり、あのお化けカボチャに主役の座を奪われたようで、面白くないんだとか。

人によって、自分の誕生日との向き合い方が全然違いますね。

11月1日(水)
明日、神楽坂la kaguでおこなわれる町山智浩さんと滝本誠さんのブレードランナー関連のイベントに参加することもあり、ひきつづき、『ブレードランナー』の世界をさまよっている。

明日のイベントは町山智浩さんの『<映画の見方>がわかる本 ブレードランナーの未来世紀』の文庫化を記念しておこなわれるのだが、この本には大きな影響をうけた。「ブレードランナー」「ロボコップ」「イレイザーヘッド」といった映画が何を革新し、何をもたらしたか。社会の何を指し示しているか。町山さんの解説には、ごまかしやまやかしがない。

その町山さんが創刊した「映画秘宝」の別冊として最近発売された『ブレードランナー究極読本』、これまた大伴昌司的な熱意にあふれたすさまじい本である。銃やロケ地めぐりや最初期の『ブレードランナー』試写版設計図の完全復元やら、やたらマニアックで活字が小さい。

新潮社のOBである大森望さんの原稿も「原作小説『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』の世界」「フィリップ・K・ディック映像化作品大全!」と二本あって、大森さんの名前を学生時代にまずフィリップ・K・ディックの熱烈な翻訳家として認識したことを久方ぶりに思い出した。

ポール・ウィリアムズ『フィリップ・K・ディックの世界』はぺヨトル工房から以前別のタイトルで出ていた本を復刊したものである。ディックは1982年に脳梗塞で53歳で亡くなるが(びっくりするぐらい若いなあ)、1974年の「ローリング・ストーン誌」のためのインタビューが中心となっている。飾らない生のディックの言葉に触れている気持ちになる。

「……晩年はちょっと宗教的な世界にまでのめりこんでいたけれど、そもそもディックにとってリアリティというのは絶対的なものではなかった。平凡な人間を描けば描くほど、世界のリアルのほうがどんどん実体を失っていくような、人間もシュミィラクルにすぎないような、そんな物語を一貫して書き続けた。(中略)でも、そんな不条理な小説はさすがにもう古びてきたかなと思えば、今度は現実のほうがディック化してきたようだ」(新版への訳者あとがき)

最近の『高い城の男』のドラマ化も、映画『ブレードランナー2049』も、なんだか未来への警鐘のようにも感じてしまう。現実がディックの妄想を追っているとしたら、世界はこれから、晩年、ディックの陥った神秘主義的な方向へ向かうのか? もしそうだとして、それは気づいたら抜け出せるものだろうか?

11月2日(木)
神楽坂la kaguで、町山智浩+滝本誠「『ブレードランナー』再び! 80年代カルト映画ナイト」。チケットはあっという間に売り切れたそうだ。

映画と同じ構図の絵画や、映画の中に出てくる絵画をヒントに、映画監督が映画に込めた意図を読み解く、という批評方法を、町山さんは滝本さんに学んだそうだ。「ブレードランナー2049」についても、ナボコフ『青白い炎』やプロコフィエフ「ピーターと狼」やタルコフスキー「サクリファイス」やターナーの絵画の引用を次々と町山さんは指摘して、批評的な胃袋の大きさを感じた(「ブレードランナー2049」について、ラジオとはまったく違う切り口で話していて驚いた)。

独特のゆったりした語り口の滝本誠さんに加えて、途中から『ブレードランナー究極読本』にも執筆している小野里徹さん、渡部幻さんも登壇、カイル・マクラクランが『ツイン・ピークス The Retrun』で飲んでいる自分でブレンドしたコーヒーを四人で飲んだりして、会場が大いに盛り上がった(ドラマ出演中の裕木奈江さんに町山さんがいただいたものだそうです)。

この対談、後日、当サイトに掲載する予定です。

11月3日(金)
生まれてはじめて高級コンビーフを買った。近くの伊勢丹三越のショップ「エムアイプラザ」に置いてあった千駄木・腰塚の自家製コンビーフ400g、1800円。

まったく知らなかったのだが、すごく有名なコンビーフなんですね。

アツアツのご飯に生卵の黄身と一緒に載せたり、食パンに載せて一緒にトーストしたり。

あまり意識してこなかった食品にスポットがあたると、なんだか日常生活がカラフルになったような気持ちになる。こういう喜びはおいしいレストランで外食するのとまたちょっと違う。なんと一緒に炒めたらおいしいだろうか、なんと一緒に挟んだらサンドイッチが美味いだろうか、と理科の実験のようにいろいろと考えることが楽しいのだ(「腰塚」は、池袋東武百貨店に先週初出店したらしいです)。
 
webでも考える人 最新の話題
詩人・谷川俊太郎さんに文芸ジャーナリスト・尾崎真理子さんが3年にわたるロングインタビューを敢行!「考える人」と「新潮」掲載の原稿を全面改稿し、……
作者のアイリーン・ベッカーマンさんは、人生で着てきたほとんどすべての服を記憶していて、それをイラストに描き、その時々の思い出をエッセイとして書き添えている……
昭和三〇年代から四〇年代にかけて、小林秀雄は大学入試の出題数で毎年御三家の一角を占めていた。他の二家は『朝日新聞』の「天声人語」と夏目漱石である。ところが、……
石内都と桐生を旅してから四か月が過ぎた。この間の石内は、横浜美術館で開催される個展「石内都 肌理と写真」(二〇一七年十二月九日―一八年三月四日)の準備に多忙な……
一八八四(明治一七)年、天心はフェノロサの通訳として調査のために法隆寺にいた。フェノロサは寺側に夢殿に収められている仏像の公開を求める。しかし、……
堅苦しい話が続いたので、しばし、「プログラミング」のオールドタイマーの話をしよう。竹内薫プログラマー回顧録である(笑)。そもそも私はパソコン好きが高じて、……