最近、古書店が人気を集めています。それは何と言っても、インターネットの普及が大きかったでしょう。半日ぐらい時間をかけて古本屋をはしごして、じっくり探すことが古本の本来の愉しみではありますが、とにかく一刻も早く本を見つけたいという場合には、インターネットに勝るものはありません。古書店のインターネット検索を利用すれば、ほんの十数秒の間に、たとえば北海道のネット古書店で、あるいは九州のネット古書店で、探していた本が見つかります。

『ベストセラーだけが本である』(筑摩書房)など、本をめぐる著作やインタビューの仕事で気を吐く永江朗氏が「ネット古書店利用術!」と題してネット古書店の利用法やネット古書店の舞台裏を探ってくれました。在庫管理の方法や不払いを決め込む不届きな利用者対策など、興味深い話が続々登場します。

 インターネットと言えば、やはり来たるべき新しい書籍のかたちである電子出版のゆくえも気になります。先月発足した電子書籍の配信会社「パブリッシングリンク」の代表取締役社長に就任した筑摩書房の名編集者・松田哲夫氏には、「電子出版・読書の未来」と題してこれからの読書のあたらしいスタイルについてお話をうかがいました。

 写真は来春ソニーから発売予定の読書専用端末の「試作機」です。「パブリッシングリンク」が来春からスタートするレンタル形式の電子書籍は、お手持ちのパソコンはもちろん、この端末で読むことができます。画面は文庫判とほぼ同じサイズ。最大の特徴は、ページの書き換えが可能で紙の印刷物と同様に見やすい「電子ペーパー」をディスプレイとして採用していること。消費電力もパソコンにくらべて格段に少ないこと。もともと紙に印刷した本というメディアの魅力にとりつかれたはずの松田氏が、電子出版の未来にかけてみようと思ったのは、この端末機の魅力も大きかったようです。来春は、読書の世界にどうやら新しい風が吹きぬけそうな気配です。

 本の情報も内容もパソコンがあれば手に入れることができる。しかしそれだけでは「どんな本を読もうか」「この本は面白そうだ」という気持ちには直結しません。その動機付けとして大きな影響力を持つのは、読書好きの友人の口コミであったり、あるいは信頼すべき書評子の文言ではないでしょうか。

 池澤夏樹氏は年間で約三十冊ほどの書評を執筆し、その信頼度も高い名書評家としても名を馳せる作家です。それでは、池澤氏による書評の要諦とはいったい何でしょうか?

 「書評家の喜びと悩み」では池澤氏自身による書評の舞台裏を明かしていただきました。また、池澤氏の実際の書評も再録しています。今年、海外文学好きの読書人の間で大きな話題となった作品、『灰色の輝ける贈り物』(アリステア・マクラウド著/中野恵津子訳 新潮クレスト・ブックス)です。この書評を読んで購入を決めたという声が多数寄せられたものです。併せてご味読ください。