リチャード・S・ワーマンのインタビューを読んで、「TED」に興味を持ち、もっと知りたいと思われた方には、茂木健一郎さんによるイントロダクション「TEDという黒船」がうってつけです。TEDの大ファンで、ご自身もTEDトークに登壇した経験をもとに、どれほど魅力的な場であるかを熱く書いてくださいました。

エッセイ

湯川豊「丸谷才一さんの『挨拶』の秘密」 挨拶にまつわる著作も多く、「挨拶の名人」として知られた故・丸谷才一さん。実は必ず前もって原稿を用意されていました。その理由とは。生前親交が深かった湯川さんが、名人たる所以を教えて下さいました。
嵐山光三郎「文士の弔辞」 小説家の葬儀で読まれる弔辞は隠れた名文揃い。作家たちが全霊をかけた作品とも呼べるものばかりです。豊富な例をひいて、ひとくせもふたくせもある文士たちならではの弔い方を味わわせてくれます。
阿刀田高「紙と民主主義のはざま」 紙が一般の民にも使えるようになるまで、人々を動かすためには言葉を尽くして熱弁をふるわなければなりませんでした。古代ギリシャで雄弁術が重宝されたのもむべなるかな。ソクラテスなど先人たちの知恵をのぞいてみませんか。

評論

佐藤卓己「ヒトラー演説から学ぶことのリスク」 演説による大衆煽動といえば、ヒトラーを避けて通るわけにはいきません。タブー視されることで、かえって神話化されるヒトラー演説のテクニック。メディア史研究の第一人者がそこに潜む陥穽を考察します。
速水健朗「福澤諭吉と演説館」 「speech」「debate」を「演説」「討論」という日本語に訳したのは、福澤諭吉でした。慶應義塾大学にいまも残る三田演説館を舞台に、明治初期の日本に「演説」「討論」を根付かせようとした過程を追います。

ルポ

佐藤啓二「伝説のスーパー社長の『特別な朝礼』」 人口4700人の町で、一日5000個以上のおはぎを売るスーパー「主婦の店 さいち」。この秘訣は朝礼にありました。全国から視察に訪れる人が後を絶ちません。朝礼で社長はいったい何を語るのでしょうか。
林恵子「子どもを支えるスピーチ」 児童養護施設に通う子どもたちの大学進学率は全国平均の3分の1にしか至りません。生育環境格差が希望格差になってしまっている現状を変えたいと、ひとりの女性が立ち上がりました。子どもたちが夢をかなえるための経済的支援につながるスピーチコンテストについて伺いました。

エッセイ

原田マハ「私がスピーチライターの物語を書いた理由」 『本日はお日柄もよく』というスピーチライターが主人公の小説を書いた原田さん。この物語が生まれた背景には、若かりし頃の貴重な経験がありました。
清川仁「ライブで心を打たれる瞬間」 ミュージシャンのライブにおける曲間のトークも「スピーチ」の一種でしょう。何百人、何千人、時に何万人もの前で放たれる言葉は、歌や演奏よりも感動を呼ぶケースすらあります。年間100本以上ライブ観覧している新聞記者がミュージシャンのMCを分析します。
渡辺憲司「校長の選手宣誓」 著者は、東日本大震災直後の生徒への訓示が大変話題になった立教新座中学校・高校の校長先生。中高生という一番難しい時期の子どもたちを前に日々言葉を投げかける立場から、その心構えを伺いました。

伊坂幸太郎「スピーチはしたくない」 いざスピーチを頼まれるとどうにも腰が引けてしまうもの。それどころか、そもそも人前に出るのも大の苦手……という人気作家・伊坂幸太郎さんが台湾で読者を前にイベントをやることに。さて、どう乗り切ったのか? 軽妙なエッセイに仕立ててくださいました。

 特集を締めくくるのは読売新聞アメリカ総局長・飯塚恵子さんと外交史研究家・細谷雄一さんの対談「いま求められる『血の通った言葉』」。飯塚さんはかつてイギリス赴任直後にブレア首相(当時)のイラク戦争参戦のスピーチを、小泉純一郎氏の番記者を務めていた頃には彼の力強い発言を間近で聞きました。また、細谷さんは歴史を研究していく立場から、歴史の転換点には必ず名スピーチが生まれるということを指摘します。というのも、名スピーチによって、人が、国が、そして歴史が動くからです。政治記者と歴史家というそれぞれの立場から見聞きした政治家たちの言葉について語って頂きました。