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「東北の報道をするなら明るい話題を」という声に託された”希望”は一体、誰のためのものなのか——ジャーナリストとして自問自答し続ける安田さんの真摯な姿勢。
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3月10日(土)
羽田空港から夜の便でロサンゼルスへ。ロサンゼルスに行くのは大学の卒業以来25年ぶりだ。サンフランシスコ、グランドキャニオン、ラスベガス、ロサンゼルスをめぐる卒業旅行だった。一緒に行った鈴木くんとは卒業以来あまり連絡をとってないけど、元気だろうか、などと普段あまり思い返さないことを思い出す。当時のロサンゼルスのダウンタウンはあまり治安が良くなくて怖いイメージがあったが、今はだいぶよくなったらしくて安心する。

日中は、ロサンゼルスを舞台にした、ジャド・アパトーのちょっと痛いラブコメドラマ『LOVE』を楽しむ。さらに、全日空の飛行機の中で見てなかった『ラ・ラ・ランド』を見る。これもロサンゼルスが舞台だ。『セッション』、『ラ・ラ・ランド』のあとに作るのは、監督のデイミアン・チャゼルはプレッシャーだろうなあ。

厚い本を持っていきたくなかったので、「新潮」編集長の矢野が以前ツイッターで褒めていた王銘エン(王ヘンに宛)氏の『棋士とAI』を読み始める。

ロサンゼルスは今日は小雨でそれほど暖かくなかった。迎えに来てくれたカーサービスの運転手さんが2メートルぐらいあって、スーツケースを軽々と持ち上げる。怒らせたら確実にまずいことになりそうだ。

3月11日(日)
棋士とAI』読み進める。囲碁は詳しくないが、面白い。シンギュラリティなどといわなくとも、すでにAIがトップ棋士に勝つようになったアルファ碁の世界を、日本棋院九段の現役の棋士が書く。人間とAIの知性の資質の違いへの考察が面白い。AIのうつ手はわかりやすいし、戦略がないらしい。それなのに人間は勝てない。知性とは一体何なのか。囲碁の世界を炭坑のカナリアとして、未来を思う。

有名なオーガニックスーパー、ホールフーズマーケットとトレーダー・ジョーズに行く。自炊用のレモネードやタコスチップス、ワカモレなどを購入。野菜や惣菜の量に圧倒される。オーガニックのオレンジジュースがやたら美味しい。ホテルでも滅多に飲めない味だ。

3月12日(月)
ネットフリックスやアマゾンプライムって国外に出ると結構見られなくなってしまう作品があるんですね。金融界のヘッジファンドと検事の戦いを描いたドラマ『ビリオンズ』を見ていたのだが、ロサンゼルスに来たら消えてしまったので、『ジェシカ・ジョーンズ』の第2シーズンに頭を切り替える。

今日からサマータイム。深夜の2時に1時間時計の針が進められる。生まれてはじめて切り替わる瞬間を経験し、もっと驚くかと思ったがそうでもない。iPhoneの時計も勝手に切り替わる。

縁あってUCLAの大学院生たちと知り合いになる。日本文学を研究している学生で、留学生が多い(アジアだけでなくヒスパニックやヨーロッパ系の人もいる)。相当みんな頭がいいのだろうが、素朴でシャイな印象の人が多く可愛らしい。日本に行ったことがなくても、日本語がとてもうまく、日本の現代文学に通じている学生もいて、日本文学との関わりも人それぞれだなあと思う。日本文学によって人生が変わったというような話を聞く。

3月13日(火)
ロサンゼルスは想像以上に広く、車がないと移動しにくい。ここ数年、uberというカーサービスが普及してだいぶ楽になったらしい。日本にもuberは上陸しているが比較にならない普及率で、逆にタクシーはまったく見かけない。uberはスマートフォンで呼ぶので、スマホを持たないと移動できない世界だ。滞在中、二回uberを自分で呼んだ。一回目はトヨタのプリウスで運転手はAlirezaさん、二回目はメルセデスベンツEクラスで運転手はRichardさん。日本でいう白タクのイメージだが、まったく危なくないし、安いし、慣れると楽しい。

道が広くて交通マナーがよく、クラクションの音が聞こえないせいか、全米第2の都市にいるのに、田舎にいるような気分になる。のんびりとした安らかな気持ち。テレビは、ずっとトランプ大統領のティラーソン国務長官の解任をかなり大きなニュースとして扱っている。

3月14日(水)
帰国の日。

飛行機の中でアカデミー賞を争った『スリービルボード』と『シェイプ・オブ・ウォーター』を立て続けに見る。共にかなりいい出来だった。

特に『スリービルボード』は一瞬も気が抜けなかった。隙のない脚本にうなる。かなり予想外な方向に展開するのに、ラストまでいくとあらかじめここが目的地であったように感じられる。
 
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