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イタリアの山奥の村・モンテレッジォ。ここの村民の祖先はかつて本の行商で生計を立てていた、いわば「本の村」。先週行われた本屋大賞授賞式にもこの村の方々が出席!
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昨年秋から「Webでも考える人」編集室は、編集長の私・松村と、進行のSさん、デザイナーのSさんの3人で運営してきましたが、4月から新しい編集者が2人加わりました。実はその二人も苗字のイニシャルがSなので、便宜上(綿矢りささんの『勝手にふるえてろ』みたいですが)「一くん」と「三くん」と呼ぶことにしたいと思います。

「一くん」は、日本の純文学や翻訳ものの単行本を中心にやってきた編集者で、彼とは新人作家を一緒に支えたり、ベテラン小説家の作品を二人でいただいたり、翻訳ものを「新潮」に掲載する際、英語を見てもらったりと、ずっと頼りになる相棒でした。彼の加入でこのサイトはますます魅力的な彩り豊かなコンテンツを配信できるであろうと確信します。ピアノやカメラ、料理などが得意で、多芸な彼にはいつもいろいろと教えられてます。

「三くん」とは彼が入社した頃、私と同じ写真週刊誌に配属され、一緒に取材に行ったり、遊んだりと、20年以上のつきあいです。新潮選書と兼務で「Webでも考える人」もやってもらうことになったのですが、選書や単行本でここ数年、スマッシュヒットを数多く出してます。政治や近現代史、経済の分野で書き手の信頼の厚い編集者です。

この二人の力を借りて、これからの一年、気軽に読めるエッセイ、うちでしか読めない本格的な評論、アンケートで希望の多かった小説など、より多くのさまざまなコンテンツを提供していきたいと考えています。パワーアップしていく当ウェブマガジンにご期待ください。

4月9日(月)
新潮」編集部のほうも異動があったので、歓送迎会をおこなう。「新潮」から出版部に異動した田畑くんの希望で、神楽坂から遠足のようにみんなで押上に移動する。スカイツリーがとても近く見えた。

異動する田畑くんが自ら幹事をするというのも珍しいパターン。田畑くんの代わりには文庫編集部から入社3年目のTさんが入った。先発隊の4名でワインバー遠藤利三郎商店で赤ワインをまずは一杯。ゆったりとした店内の壁際にはさまざまなワインが並んでいる。今度ゆっくり来たいと思わせるいい店だった。

そのあと、肉居酒屋というか、ホルモン焼き屋の「まるい」へ。とにかく肉の量に圧倒される店。馬刺し(冷凍してない新鮮な馬刺し、とても分厚い)、黒タン刺、ガツ刺、小袋刺、牛にこみ、まるいサラダ、豚ロース焼き、じゃがいもスライス焼き、仔牛のローストビーフ、なんこつホイル焼き、牛レバたれ焼き、地鶏ねぎ入り焼き、馬ステーキ、仔牛のサンドイッチ。

こうして書き写しても、あきらかに食べすぎだな……。全てのメニューを大将が1人で作る。

お腹いっぱいになり、10時過ぎ、早々に私は失礼してしまったが、若い編集者たちはあの馴染みのない楽しい街で、何時まで飲んだのだろう?

4月10日(火)
分け入っても分け入っても日本語」を連載していただいている飯間浩明さんにはじめてご挨拶する。飯間さんは本を読むときも、新しい言葉、新しい表現に出会ったら、必ずその個所に印をつけるそうだ。

さらに、街で聞いた話し言葉や、看板の言葉遣いなどにも気を配り、例えば「真逆」という言葉をいつどこではじめて聞いた、などということを仔細に記憶している。 国語辞典の編纂者の職業病というか、すごみを大いに見せつけられた。

4月11日(水)
新しく担当することになったので、田中慎弥さんの人生論ともいうべきエッセイ『孤独論 逃げよ、生きよ』を読む。『夜蜘蛛』『燃える家』『宰相A』『美しい国への旅』といった小説は追ってきたが、エッセイ集はあまり読んでいなかった。

田中さんではじめての口述筆記の本だと思うが、そういう本ならではのいきおいを感じる。吐き出されるときならではの言葉の強さがある。

「奴隷状態から抜け出す」「孤独であること」「なぜ読書が必要なのか」「やりたくないことはやるな」というようなことが語られるのだが、田中さんは高校卒業後15年間、32歳で「冷たい水の羊」で新潮新人賞を受賞するまでいわゆる引きこもり生活をしていたので、思考の強度が並みではない。サブタイトルの「逃げよ、生きよ」のメッセージが、今現在苦しんでいる人への切実なアドバイスとして響く。

4月12日(木)
三くんと一緒に、東京にいらした経済学者・猪木武徳さんに会う。

以前、雑誌「考える人」でしていただいた連載は『自由の思想史—市場とデモクラシーは擁護できるか—』という新潮選書になった。中公新書の『戦後世界経済史』や『経済学に何ができるか』も印象深い。

京都在住の学者ならではの、教養の深さと話の面白さに圧倒された。クラシック音楽やオペラの話も面白くて、猪木さんの好きだというハイドンの弦楽四重奏を久々に聞きたくなった。

4月13日(金)
橋本治さんのかなり斬新な長篇小説『草薙の剣』をめぐって、新宿紀伊國屋書店で橋本さんと「考える人」創刊編集長で小説家/編集者の松家仁之さんのトークイベント。

「考える人」第2号の特集が「特集 橋本治と考える「女って何だ?」」だったように、昔から縁の深い二人だが、公開インタビュー、公開対談ははじめて。

それ以前に、橋本治さんの公開イベントはサイン会も含め、『桃尻娘』全7巻完結の30年ぶりではないかとのこと。とにかく古典をめぐって話をすることはあっても、自作の小説について話をしたことがない。

松家さんが『巡礼』『』『リア家の人々』の近年、橋本さんが文芸誌に発表した小説をすべて読み返し、周到に質問してくれたおかげで、すごく貴重な対談になった。

この対談は「新潮」7月号に掲載の予定です。
 
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