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連休の合間に更新された岸政彦さんの「にがにが日記」が初登場1位! ご本人は「なんも書いてへん」と謙遜されますが、いやいやどうして読まずにいられないこの中毒性!
心臓の手術を経て、いまは通常の生活に戻っている村井さん。個性的だけど、絶大な信頼感のある医療チームのみなさんの描写が可笑しく、そして読んでいて心強いです。
新入社員の皆さんも街に馴染みはじめたこの頃ですが、今度は就活生とおぼしき人を見かける季節に。統一されたかのような服装から〈身だしなみ〉について考えます。
編集長 今週のメルマガ
 
4月から加わった新しい編集部員「三くん」に自己紹介代わりに3冊の本を選んでもらいました。先日も書きましたが、選書や単行本でここ数年、スマッシュヒットを数多く出している三くんは、政治や近現代史、経済の分野で書き手の信頼の厚い編集者です。では、以下、三くんの選書です。

【新任編集部員「三」のおススメ冒険本】
はじめまして。4月から「Webでも考える人」編集部に加わった「三」です。新潮選書編集部と兼務になりますが、どうぞよろしくお願いします。

さて、編集長より「自己紹介がわりに、おススメ本を4冊挙げよ」との指令があったので、下記の本を紹介いたします。ふだんはインドア系の学芸書ばかり作っていますが、今回はあえてアウトドア系の冒険本を選んでみました。
 
中学生の頃にこのシリーズを読み、「好きな作家と一緒に釣りに行って、給料をもらえる仕事があるのか!」と衝撃を受けたのが、はじめて編集者という職業を意識した瞬間だった。入社20年、このような美味しい企画は実現できていないが、まだ諦めてはいない。

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空白の5マイル』で第8回開高健ノンフィクション賞を受賞した著者の最新作。太陽が昇らない冬の北極を旅した圧巻の探検記。著者自らが「フィクションだと疑われても仕方がない」と書くほど劇的な展開だが、尋常ならざる筆力の成せる業であるのは言うまでもない。

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こちらは第6回開高健ノンフィクション賞受賞作。熱気球で太平洋単独横断に挑み海上で消息を絶ったアマチュア冒険家・神田道夫の軌跡を、かつて神田と一緒に飛んだパートナーだった著者が描く。冒険モノの古典的名著『サハラに死す』に通じる「切なさ」がある。

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角幡・石川両氏に、著者を加えた3人が、私の中の勝手な「冒険モノ三羽烏」。角幡氏がパワー系、石川氏がアート系だとすれば、服部氏はユニーク系。とにかく独特で面白い。なんと初の小説『息子と狩猟に』が本年の三島由紀夫賞候補に。予測不能で目が離せない著者だ。

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三くん、ありがとうございました。これからときどき、メールマガジンで、ほかの編集部員たちに選書をしてもらおうと思います。

4月26日(木)
新潮社近くの la kagu2Fにて「—作家・天童荒太は挑発する—「あなたは『痛み』を感じていますか?」。

ペインレス』(上・下)刊行記念イベントの第一弾。『永遠の仔』『悼む人』のイメージから、傷ついた心を癒してくれる作家というイメージがある天童さんだが、「新潮」連載のこの作品は、むしろ読者を挑発してやまない。自分の痛みには敏感なのに、他人の痛み、とくに目の前にいない人々には鈍感になりつつある現代人へのメッセージを含んだ、激しい恋愛小説である。

これまで、ほとんど講演をしてこなかった天童さんなので、熱心な読者が多く会場に集まった。天童さんは私の知っている小説家の中でもゲラでもっとも手をいれる人なのだが、その入れ方が、まるで物理の配線図のようで、下書きを清書したかのように美しい。この日の観客には真っ黒になった「新潮」掲載時の初校ゲラ実物を回覧した(私の天童さんへのメッセージも回覧されてしまい、恥ずかしいかぎり)。

イベントの第二弾が同じくla kaguにて5月29日(火)に開催予定。次回のイベントは『ペインレス』を読んだ読者に向けて、「天童荒太の一問一答」形式を予定している。

5月2日(水)
小沢健二のライブ 「春の空気に虹をかけ」を見に日本武道館へ。ほぼ同世代なので、ずっと聞いてきたがはじめて味わうライブに興奮する。36人編成のファンク交響楽方式でのコンサート。小沢健二の隣に随時満島ひかりがいて、コーラスをしたりダンスをしたりギターを弾いたりするというぜいたくな時間を味わった。時には岡崎京子の漫画の登場人物が満島ひかりとして転生しているかのように見えた。

ベースやドラムの作るグルーブに、オーケストラ(服部隆之氏の指揮)が乗っかって、「LIFE」の楽曲や「流動体について」「フクロウの声が聞こえる」「アルペジオ(きっと魔法のトンネルの先)」が完璧に生で再現される。場合によってはより複雑にアレンジされていて、それこそベルリオーズの交響曲のように、情報量があまりに多く一度聞いただけでは処理しきれない。

圧巻だったのは、後半の「戦場のボーイズ・ライフ」「愛し愛されて生きるのさ」「東京恋愛専科」のミックスCDを聞いているような複雑なメドレー。まるでDJが三つの曲を行ったり来たりつないでいるようなことがおこなわれていた。曲が終わってから、みんなで息を合わせて次の曲にいくのではない。曲の途中で、リズムが違う別に曲にうつり、だんだんとBPMが早くなっていくということが、36人によって生で演奏される。どのくらい練習したら、こういうことが実現するのだろう?

5月4日(金)
タモリ倶楽部の「ウラスジ大読書会」に、親しくしている後輩・高橋裕介くん(新潮文庫nex編集長)が出演しているのを見る。スキンヘッドの彼は、編集者三人の中でもセンターにいて、めだっていた。いじられながらも、コメントが結構つかわれていてすごいなあ。テンションを変えずに聞き手に刺さる言葉を言う。番組の予告のあった4月27日から彼のツイッターが静かにはしゃいでいる。

5月5日(土)
ジャス・ピアニスト南博の自伝的作品『パリス ジャポネピアニスト、パリへ彷徨く』を読む。銀座篇である『白鍵と黒鍵の間に』、アメリカ篇である『鍵盤上のUSA』」につづくパリ篇。南さんの一連の作品にはプロの文筆家ではないからこその文章のぬけの良さがあって、読んでいてとても気持ちいい。今回は真ん中あたりにコブラという凄腕の黒人アルトサックスプレイヤーが出てきてから、急に雰囲気がハードボイルドタッチになり、ラストは短銃をもってコルシカマフィアと渡り合う。

「……弾は六発。おまえがこれからどういう動きをしようと、多分少なくとも二発は当たるだろう。」

どこまでが本当にあったことなのか、と想像するのもまた楽しい。
 
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兵庫県生まれ。イラストレーター。 京都精華大学デザイン学科卒業。 季刊誌「考える人」の連載「向井万起男のどんな本、こんな本」の挿絵を担当。……