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新連載を二つはじめます。

一つ目は、松原始氏の『カラスの悪だくみ』です。

カラスといえば鳥類の中でも嫌われもののイメージですが、なんで人間が嫌ってきたのかはよく考えると根深い問題です。『カラスの教科書』で、そんなカラスのドジで興味深い行動の魅力を描いた松原始氏の新連載は、守備範囲を広げ、カラスを軸に、ほかの鳥類や猿など特徴的な動物の生態や人間との関係を楽しく伝えます。人間は何を友達と感じ、何を敵としてきたか。カラスをはじめ、動物たちの見方が変わるはずです。

二つ目は、ジャーナリスト松本仁一氏の『食べる葦』。松本氏は『カラシニコフ』『アフリカ・レポート』など骨太な報道で知られる、中東・アフリカ報道の第一人者です。この新連載は、『アフリカを食べる』で「食」から「国家とは何か」を見事に切り取った著者の、いまだ書かれてない数多くの経験をもとに、戦時下、あるいは不安定な政情下において、人は何を食べてきたのかを描きます。初回「世界一うまい羊肉」はイラク戦争の最中にバグダッドで食べた羊肉の話。言われてみれば当たり前ですが、戦時下でも店は営業中であり、人は何かを食べねば生きていくことは出来ません。緊張感のある迫真のレポートを配信スタートです。

5月14日(月)
神楽坂la kaguにて、高橋源一郎さんと平田オリザさんの対談イベント「文学のことば、演劇のことば」。

高橋源一郎さんの代表作『日本文学盛衰史』を平田さんの率いる青年団が舞台化し、6月7日(木)から7月9日(月)まで吉祥寺シアターで公演をおこなう。今回のイベントはそれに先駆けてのものだ。

今回のイベント、『日本文学盛衰史』は新潮社から出ているわけではないのだが、ぜひこの組み合わせの対談を実現したいと動き回ったのは「新潮」編集部の杉山くん。高橋源一郎さんの新連載「ヒロヒト」の担当の彼は、青年団の制作の方とも親交があり、今回の企画を双方に持ちかけた。自分の見たいイベントを実現させようとする企画力といい、そのときのフットワークの軽さといい、杉山くんにはいろいろと教えられる。

高橋さんに平田さんから戯曲が渡ったのは3日前。4人の作家の葬式を中心にした、4部構成になっているらしい。また原作との違いとしては正岡子規に焦点が当たっているという。平田さん、文学史にも詳しくて驚く。

「今年は明治維新から150年、敗戦から73年で、敗戦が現在と明治維新の真ん中ぐらいにくる。明治維新のころや戦後すぐの作家は、時代と作家の若さが重なって実にみずみずしく、キャラクターがたっている」という話が印象的だった。

この対談は後日、当サイトに掲載の予定です。

5月15日(火)
新井紀子さんの『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』を読む。

著者は国立情報学研究所教授で数学者であり、東大合格を目指すAI「東ロボくん」の育ての親だ。昨年4月に出た季刊『考える人』最終号には「『ダメなAI』にならないために」というインタビューを掲載した。

この本は、いわばそのインタビューの延長線上にあるもの。昨年同プロジェクトから見えてきたAIの可能性と限界、そして人間との関係が書かれている。AIの進化が人間のそれを上回るというシンギュラリティを、むやみやたらにそのときを恐れる感じの本が多い中、新井さんの見方はとても冷静だ。

AIには読解力がないから成長に限界があるし、今あるのはAI技術であってAIではないという。

ただ、その一方で教科書の読解力がまるでない子どもたちが増えているというのも事実。二つの衝撃的な事実の提示で、書評を読んでもAIに焦点を当てて驚いている人と、子どもの読解力低下に焦点を当てて驚いている人が同じくらいいて面白い。

5月16日(水)
新潮社にとっての芥川賞・直木賞にあたる、 三島由紀夫賞山本周五郎賞の選考会の日。担当の高村薫さんを東京駅まで迎えに行き、ハイヤーで都内のホテルへ。二時間半で選考会は終わり、今年の三島賞は古谷田奈月さんの「無限の玄」。川上未映子さん責任編集の「早稲田文学」に載った作品だ。
また、山本賞は小川哲『ゲームの王国(上下)』(早川書房)。ともに、SF的想像力が発揮された傑作だ。

5月17日(木)
WOWOWのオリジナルドラマ「煙霞-Gold Rush-」(全4話・2015年)を見る。大阪在住の直木賞作家・黒川博行の小説が原作の、私立学校の乱脈経営を背景に、登場人物たちが騙し騙され、巨額の金塊を奪い合うアクションサスペンスである。

身分の不安定な美術や音楽の講師が事件に巻き込まれていくストーリー展開も楽しいが、このドラマ、全員、関西出身の役者で演じられていて、その言葉のかけあいにリアリティがあった。

主人公の美術講師が森山未来(兵庫出身)、ヒロインの音楽講師が高畑充希(大阪出身)。木下ほうか、中村ゆり、尾上寛之、そして当時はまだチョイ役だった吉岡里帆の関西弁も新鮮だ。監督も脚本も関西の人。方言をマスターする役者たちの能力はすごいが、あらためて、出身地の言葉のやりとりは、間のニュアンスやあいづちのうち方も含めて、リアルなものだな、と感じた。関西が舞台の関西人によるドラマをもっと見たい。
 
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