真っ青な目がチャームポイントのゆうくん。お家に来た最初の日の写真。

 ひょんなことから家族の家に、猫ちゃんをお迎えする、という話が持ち上がった。小さな頃になりたかった将来の夢が「猫」だったほど大の猫好きを自負しながらも、一度も猫と一緒に暮らしたことがない自分にとって、願ってもないことだった。そんな新しい家族を迎えるなら保護猫ちゃんから、と思っていたところ、友人が「りんご猫ちゃん」専門の保護猫カフェがある、と教えてくれた。
 りんご猫…? 耳慣れない言葉だったこともあり、調べてみると、保護猫カフェ「ネコリパブリック」が、FIV(ネコエイズウイルス)に感染した猫たちのことを、偏見をなくしたいとの思いからそう呼んでいることが分かった。
 FIVはHIV(ヒトエイズウイルス)と同じ種類とはいえ、人にうつることはなく、必ず発症するわけでもない。けれどもエイズウイルスに対する誤解を含めた“イメージ”が、譲渡を難しくすることがあるのだという。
 ネコリパブリックが運営するりんご猫ちゃんの専門店は、お邪魔してみると個性派ぞろいであっという間に時間が過ぎてしまった。ちょっと恐がりで最初は遠巻きに見ているものの、そろりそろりと近づいてくる子もいれば、最初からすりすりと寄ってきては、甘えた声で「遊んで遊んで!」と誘ってくれる子もいる。
 後に私たちの家族に加わってくれることになる「ゆうくん」は、いわゆる“ひとり猫”タイプだった。猫といるよりも人間といることが好きなようで、のそりのそりと膝に乗ってきたかと思うと、そのままごろんと寝そべって動かず、他の猫たちが近づこうものなら強烈なパンチで追い返そうとする。何度も通ううちに入り口まで迎えにきてくれるようにもなり、家族皆で「一緒に暮らそう」とゆうくんにお願いすることにした。
 新しい家族となって2週間ほどが経ったゆうくんは、早くも家の主のように堂々と歩きまわり、お気に入りの場所もできたようだ。安心しきった寝相や、夢中になっておもちゃで遊ぶ様子は、一緒に暮らさなければ見ることができなかった姿だった。
 これまで東南アジアやアフリカでHIVの取材を続けてきたが、問題意識は同じなのかもしれない。大切なのは正しい知識を身に着けながら、落ち着いて、そして自然体で相手と向き合うことなのだろう。ゆうくんとの日々はまだ、始まったばかりだ。

台所から音がすると、「ご飯の時間?」と聞き耳をたてる。