またはじまりました。「ヨーロッパ墓地紀行」とでも言えばよいのか、養老孟司さんの新連載がスタートです。

『考える人』誌上で2012年春号から2014年冬号まで連載していた「ヨーロッパの身体性」は、ドイツ・オーストリア・チェコ編として、おかげさまで無事に『身体巡礼』としてまとまりました。今度はその続きで、「イタリア・フランス・ポルトガル編」です。今年の3月に養老さんと巡ってきた取材内容を、装いあらため、お届けいたします。
「墓なんてどこにでもあるよ。この連載どこまでやるの?」と養老さんから言われ、「どうするんでしょうか」とお答えしながらも淡々と進めてまいる所存です(笑)。

 それにしても、さすがカトリックの国々。ひと言でいえば、「濃ゆい」。墓の数も多く、また多種多様な装飾が施されており、歴史的な背景も含めて、一筋縄ではいかないものになりそうです。ただ、取材で心がけたのは、今までになされている美術史や宗教史の学術的な軌跡を追うのではなく、養老さんの目で、耳で、脳みそで解釈される身体的な死生観を見出すことでした。ますます一筋縄ではいかないわけですが、それこそ足を運んできた甲斐をお見せできるのではないかと自負しています。

 第一回、最初はアッピア街道です。いわずと知れたローマ時代の有名な遺跡、というよりも、いまだ一部現役で使われている幹線道路です。勃興する都市、ローマはどのように人体を葬っていたのか。アッピア街道沿いに並ぶ、ローマ時代の貴族の墓たち。ここを基点に、「墓」という究極の身体の最終形を時系列順に観察していければと意図しています。

 養老さんの目と耳を通して伝わってくるあちらの空気を、ぜひいっしょに味わってみてください。その延長線上に、日本の姿も浮かび上がってくるはずです。