まずは、「オーケストラをつくろう」という特集タイトルに、文字通り直結した記事を3本、ご紹介します。

ひとつは、「実録『オケ老人!』」。オーケストラに参加する高齢者の人間模様を描いた小説『オケ老人!』の著者である荒木源さんが、東京・多摩市に拠点をおく「タマ ドリーム ジャズ オーケストラ」を訪ねたルポです。50歳以上でないと入れない「華麗(加齢)なるシニア(死にニアー)バンド」の平均年齢は「アラ古希」。92歳のアルトサックス奏者一ノ瀬さんのソロは YouTubeでも見ることができます。肺癌の手術の三日後に「リハビリ」を兼ねてトランペットの練習を再開したり、酸素吸入をしながら演奏したり……死ぬまで吹いていたいバンドマンの音楽への情熱が伝わってきます。

次は、かつて中学や高校のブラスバンドや管弦楽部で楽器に親しみながらも、仕事や育児で音楽から遠ざかっていた親たちが、PTAという集まりをきっかけにオーケストラを結成し、年に一度のコンサートにむけて、“ゆるく、熱く”子供と共に演奏活動する姿をレポートした「親子で奏でるアンサンブル」。

そしてもうひとつは、赴任先の学校の管弦楽部を育て上げ、40回以上の全国優勝実績を持ち、「ジュニアオーケストラ界にこの人あり」と言われる千葉県少年少女オーケストラ音楽監督の佐治薫子さんのインタビューです。楽器初心者の新4年生を交響詩「フィンランディア」を演奏できるまでに育てるプロセスを語ってくださいました。

どの記事からも、プロの演奏家にならずとも音楽を一生の友としていく術とその喜びが伝わってきます。

この他、谷川俊太郎さんの詩「交響楽」。作曲家・望月京さんによる「人は何のために音楽するのか?」という根源的問いかけ。愛知県立芸術大学教授・井上さつきさんが解説する「オーケストラの来た道」など、読み応えある寄稿が満載です。ジャーナリストの千葉望さんは「コンサートマスターという生き方」を書いてくださいました。樫本大進さん、矢部達哉さん、日下沙矢子さんといった花形コンマス、コンミスへのインタビューに加えて、山田和樹さんが指揮者の立場から見たコンマスを語ってくださっています。ベルリン在住のジャーナリスト、中村真人さんの「ベルリン・フィルの今と未来」も示唆に満ちたレポートです。

そして特集の締めは、久石譲さんへのインタビュー。オーケストラを未来につなげていくために、いま何が必要なのか。挑戦をつづける作曲家の危機意識と未来への希望に満ちたお話です。ぜひお読みください。