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連載第1回は、ホラーと純文学の境界を越えて活躍する奇才ブライアン・エヴンソンと、短篇の名手として名高いレイモンド・カーヴァーの意外な接点について。
安田さんご自身の学生時代の経験を思い起こしながら、性的少数者を傷つけているものについて考える文章が、多くの方に共有されました。
『リアルRPG譚 行商人に憧れて、ロバとモロッコを 1000km歩いた男の冒険』で話題になった、若きノンフィクション冒険作家による新連載がはじまりました。
編集長 今週のメルマガ
 
今週も、お知らせが2つあります。

1つ目。池田清彦さん養老孟司さんの最新対談「虫との大切な時間」を掲載しました。

この対談は6月4日に鎌倉・建長寺の虫供養にて行なわれたものです。稀代の虫好きとして知られる養老さん。「虫塚」を鎌倉の建長寺に建立しており、毎年6月4日には法要を行ない、その際に講演会も開催しています。今回はその3回目で、長年の虫友、池田清彦さんとの公開対談が実現しました。お互いを知り尽くした二人のゆったりとした対話の時間を味わっていただければ幸いです。

2つ目。小山田浩子さんの最新刊『』刊行記念で行なわれた、津村記久子さんとの対談「奇妙な『庭』の作り方」を掲載しました。

デビュー作『工場』以来、小山田作品を愛読してきた津村記久子さんと、津村さんの作品の大ファンだという小山田浩子さんの、初顔合わせの対談。独特の文体について、書き始めたきっかけ、土地や方言のこと等々、刺激的な対話の様子を、前後編に分けてお届けします。特に小説の細部についての読み方や感覚は小説家同士ならではのものです。

7月30日(月)
新潮」9月号の校了最終日。

実はこの号、地味にすごい部分がある。文芸誌には、小説の冒頭にカットという挿絵のようなものが入る。今までも大竹伸朗さんなど著名な方の写真を使った号はあったのだが、今号のカット、なんと『ブンミおじさんの森』でカンヌ国際映画祭のパルムドールを受賞したアピチャッポン・ウィーラセタクン監督の写真なのである。

入社3年目で異動してきたばかりの鶴我百子さんが、アピチャッポン監督の大ファンで、ダメもとで小誌のカットに監督の写真を使わせていただけないか交渉したところ、奇跡のOKがでた。若い編集者の情熱はすごい。半年に1回、計4回掲載の予定。

監督いわく、今回のテーマは"illusion of indoor and outdoor"。人物や植物の影がうつる作品群と、割れた窓をうつした作品群の2種が送られてきたのだが、前者は、2016年の「さいたまトリエンナーレ」で発表された映像作品(のキャプチャー)、後者は、今年9月に韓国で発表する舞台作品の下見で撮影されたものだとのこと。

以下、監督より。
 

For this first collaborating issue, I want to focus on the
interaction/ illusion of indoor and outdoor. The images are taken from
the shooting of Invisibility, and also the Gwangju Army Hospital
(These windows are the not only internal and external but also about
these mixture of the two when the plants are trying to get (explore)
inside. The plant acts as a natural bridge of the spaces. In this
space, memory is also broken.

8月7日発売の「新潮」9月号を見ても、観音開きの目次の左端に小さく名前が入っているだけで、この件、そんなに話題になりそうにない。あまりにももったいないので、ここに書いておきます。

7月31日(火)
「考える人」でずっと「行ったり来たり」というエッセイを連載していたマイケル・エメリックさんの、日本語でのはじめての単行本『てんてこまい 文学は日暮れて道遠し』を読む。彼が日本語で書いたもののうち、「行ったり来たり」を除くほとんどの文章が収められているそうだ。

マイケルは、日本では高橋源一郎『さようなら、ギャングたち』、よしもとばなな『TSUGUMI』、川上弘美『真鶴』、松浦理英子『親指Pの修業時代』、古川日出男『ベルカ、吠えないのか?』など、現代小説の翻訳家として紹介されることが多いが、UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)アジア言語文化学部の上級准教授であり、「源氏物語」の研究者として『The Tale of Genji: Translation, Canonization, and World Literature』(2013)の著書もある。

そんなマイケルの多面性や、物事に対する距離感がよく伝わってくる本だった。「あとがき——過去を抱きしめ、未来を寿ぐ」の中の一節。
 

「ものを書くとき、私たちはときに、筆の力を尽くして、大事なものを書き留め、保存しようとする。しかしまた別の場合には、一度も立ち入ったことのない、しかしなんとか足を入れたいと渇望する空間に入っていくために筆をとる。死んでいくものの形見を抱き、これから生まれてくるものを寿ぐ。文章は、消えゆく過去とまだ未踏の未来を、ときには同時に立ち上げてくれる。」

彼のこういう文章が好きだ。

8月3日(金)
テレビ朝日のドラマ「dele(ディーリー)」を見る。今日で2話目。パソコンやスマホに遺されたデジタルデータの削除を請け負う仕事をしている人々の話。

このドラマは、本多孝好さんの原作も山田孝之と菅田将暉の演技合戦も楽しいけど、もう一つ楽しみにしているのが意外なゲスト陣だ。
第1回のゲストは、ラッパーの般若、第2回は「水曜日のカンパネラ」のコムアイだった。

10日放送の第3回には、今後、小説家の高橋源一郎さんが俳優として登場するらしい。高橋さんは、TBSのドラマ「カルテット」にも満島ひかりさんが憎む実父役で出演していたが、あのときはメインキャストとの絡みは少ない役柄だった。今回は、もっと重要な役らしい。

まったく演技経験のない60代の小説家が、自作と関連ないドラマで小説家以外の役をするって、珍しくないだろうか。頼む方も勇気があるし、頼まれて演じる方もすごい勇気だ。

来週のメールマガジンはお休みいたします。次回の配信は、8月23日(木)です。
 
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