山本直純という名前を聞いて、なにが思い浮かびますか? 指揮台の上で飛び跳ねる姿、大仰な身振りで指揮する姿、テレビコマーシャルで見せた豪快な笑顔? 名前を見てピンとこない人も「男はつらいよ」のテーマソングや「一年生になったら」「こぶたぬきつねこ」といった楽曲はご存じでしょう。それらの曲をつくったのが山本直純さんです。

 派手なパフォーマンスが印象的でしたが、実はあの世界的マエストロ・小澤征爾さんに最初に指揮を教え、「まったくかなわない」と言わしめるほどの圧倒的な音楽センスと才能に恵まれた天才的音楽家でした。

 今号では小特集「山本直純という音楽家」を組み、彼のめざしていたもの、その魅力と功績にいま改めて迫ることにしました。

 まずは、直純さんの代表的な仕事ともいうべき番組「オーケストラがやって来た」の関係者座談会。高い視聴率を誇ったこの番組は、お茶の間にクラシック音楽の楽しさを一気に浸透させました。当時の想い出話や語られざる直純さんの素顔が明らかに。

 シンガーソングライターのさだまさしさんには直純さんとの愉快な交歓の日々、そして直純さんから託されたクラシック音楽への想いについて語って頂きました。

 「もしもピアノが弾けたなら」、NHK朝の連続テレビ小説「おしん」テーマソングなど数々のヒット作を手がけた作曲家・坂田晃一さんは、1963年に山本直純さんに弟子入り。以来、つきっきりで作曲修業をしていました。当時のハチャメチャな売れっ子ぶりや弟子思いの直純さんのエピソードを丁寧に話してくださいました。

 そして、ご自身も作曲家・指揮者として活躍する直純さんの長男・純ノ介さんに、「家庭人・山本直純」についてお聞きしました。

 さらに生前から直純さんに取材を重ねてきた朝日新聞社・吉田純子さんの論考「いまなぜ山本直純なのか」に、イラストレーターたかはしみきさんの絵で直純さんの歌をたどる「こんなところにナオズミさん」。あらゆる角度から「音楽家・山本直純」をご紹介する小特集、是非おたのしみください。