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村井さんの知性と優しさとユーモアがにじむ、入院生活を綴ったシリーズの完結編、引き続きたいへんよく読まれています。
大学生の頃に出会った元BC級戦犯の飯田進さんのお話を通じて、戦争体験を語り伝えること、戦争について考え続けることの難しさと大切さを綴っています。
『リアルRPG譚 行商人に憧れて、ロバとモロッコを 1000km歩いた男の冒険』で話題になった、若き冒険作家による連載が始まりました。
編集長 今週のメルマガ
 
尾原宏之さんの新連載「『反東大』の思想史」を配信しました。

尾原さんは、『娯楽番組を創った男:丸山鐵雄と〈サラリーマン表現者〉の誕生』や『大正大震災:忘却された断層』が話題となった気鋭の政治学者。甲南大学法学部准教授。NHKのディレクターを辞めたあと、フリーライターで糊口をしのぎながら大学院に通い、日本政治思想史研究者になったという異色の経歴の持ち主です。

この連載は、「なぜ今の日本には強靭なカウンターエリート(反知性主義≒反体制知識人)が存在しないのか?」という問題意識のもと、明治以降の日本の反体制知識人の系譜を辿り、「文科省−東大」中心のアカデミズムの在り方に一石を投じる意欲作です。

8月8日(水)
柴崎友香さんの新刊『公園へ行かないか? 火曜日に』刊行記念としておこなわれた、滝口悠生さんとの対談「IWPに参加して、アメリカで考えた11のこと」を見に、下北沢のB&Bに行く予定だったが、台風のため欠席した。40名以上のお客さんが集まり、なかなか面白いイベントだったらしい。残念。

柴崎さんと滝口さんの対談の組み合わせは、昨年の7月25日にもあったが、とても相性がいい。

『公園へ行かないか? 火曜日に』は、柴崎さんがアイオワ大学のインターナショナル・ライティング・プログラム(IWP)に参加した2016年の秋の体験をもとに書かれた連作短篇集。約3か月間、様々な背景を持つ参加者たちと英語で議論をし、街を歩き、旅をし、大統領選挙を目の当たりにした体験で感じたことを、柴崎さんは日本に戻ってからも考え続け、ゆっくりと時間をかけて11の物語に仕立て上げた。

アイオワ大学は、クリエイティブライティングのコースをアメリカで初めて設立した大学として知られ、世界各国から作家(小説家、詩人、脚本家、劇作家)たちが集まり、10週間をともに過ごすIWPは、約半世紀の歴史を持つ。

日本からも、第1回(1967年)に参加した田村隆一をはじめ、白石かずこ、吉増剛造、大庭みな子、中上健次、水村美苗、島田雅彦、中島京子、藤野可織など、多くの詩人や作家が参加しているが、今年の8月中旬から参加するのが、当サイトでも、松原俊太郎さんと「往復書簡「小説⇔演劇」解体計画」を執筆中の滝口悠生さん。

ということで、滝口さんはあと10日ほど後に参加するアイオワ大学のプログラムのことを小説にした柴崎さんと話したことになる。自分の未来を、小説の中で疑似体験して、その著者と話すのだから、不思議な体験だったろうと思う。

滝口さんのアイオワ滞在の様子を往復書簡で定点観測できるのも楽しみだ。

8月10日(金)
先月の新潮社の新刊、関根虎洸さんの『遊郭に泊まる』を読む。予告を見た時から、自分好みのかなりぶっとんだ企画だと思っていたが、面白かった。「とんぼの本」でこういう本が出るとは! 初出は「月刊 実話ナックルズ」。

60年前に遊郭で、その建物が旅館として現在も営業している宿を全国から探すという試み。遊郭としての名残りを建物のあちこちから探る。

番外として、飛田新地の有名な「鯛よし一番」の全室が撮影されている。手つきはまったく煽情的でなく真面目そのものだが、世の中から隠されがちな貴重なものを奇跡的に見ているという喜びが湧いてくる。

びっくりしたのは、京都で焼肉の名店として名高い「江畑」。あの店は妓楼を改装したもので、地下には悪いことをした遊女を閉じ込めていた座敷牢がまだ残っているのだとか。まったくそういうこと知らなかった……。

8月13日(月)
大失敗してしまった。

「考える人」2010年春号の「はじめて読む聖書」特集でもインタビューした田川建三さんの仕事の核が、『新約聖書 本文の訳』としてまとまった。これを機に通して読もうと思い、通常の単行本は4320円なので、ついお手軽な携帯版1800円を買ってしまったのだが、なんと文庫サイズで二段組み……。

活字のポイントが小さくて、老眼のわが身にはとてもつらい。あーあ、これ、通常版を買い直さないとまるっきり読めないや。 ちゃんと中を開いてから買えばよかった。

8月16日(木)
新潮講座のイベント「読む楽しみ、書く愉しみ −高橋源一郎の世界−」へ。講師は高橋源一郎さん、聞き手は読売新聞編集委員で最近『三つの空白:太宰治の誕生』という大きな本を出した鵜飼哲夫さん。

書くときに、正しいことを言ってしまうことや、威張ってしまうことには、気をつけなければいけない。憲法でも原子力でも学びたいときはまず頂上アタック、そのあとに基礎の本を読む。などなど、高橋さんの生きる姿勢がわかるトークだった。

NHKラジオや大学の先生をされているからか、毎年、高橋さんの話術が巧みになってきている気がする。長い付き合いなので、似た話を聞いた覚えがあるのにたびたび惹き込まれる。こなれているからではないだろう。毎度毎度の、高橋さんの聴き手に対する態度が静かに必死だからだろうか。

ちなみに、先週放送になったドラマ「dele(ディーリー)」第3話に俳優として出演した件、ロケで関東各地をめぐり撮影に5日間かかったとのこと。テレビ朝日のスタッフが意欲的な人たちで、とても楽しかったそうだ。あのドラマ、数年がかりの企画らしい。ストーリーがパターン化してないのにはきっと理由があるのだ。
 
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