2015年は終戦から70年。この間に、日本の家族をめぐる状況は大きく変化しました。3世代同居で一族郎党が近所に暮らすという昭和はじめまでの大家族は激減。核家族化が進み、いまでは1人親家庭も珍しくありません。その一方で、家族には時代を経ても変わらない側面があります。それは、家族が「文化的」に作られたものではなく、「生物学的」理由によってできたものだから、というのが京都大学総長の山極寿一さんの見解です。

「考える人」冬号では、山極さんへのロングインタビューを中心に、様々な角度から「家族」を考えてみました。若き日、山極さんは家族を作りたくないと思っていました。家族とは互いを押しつけ合って自由を奪うものだと考えていたからです。ところがアフリカに行って、ゴリラを研究するうちに考えが変わっていきました。「家族っていいものだ」と。ゴリラのいったい何が山極さんを「父になる」ことへ向かわせたのか、冬号でじっくり読んでください。

 この他、檀ふみさんと酒井順子さんの「火宅の子」対談、斎藤美奈子さんによる「家族小説総まくり」、映画「そして父になる」が高い評価を得た是枝裕和監督や『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』で話題のジェーン・スーさん、『おれのおばさん』シリーズで知られる佐川光晴さん、少年と柴犬の愛くるしいフォトエッセイ『いつもとなりに ~Maru in Michigan~』の作者、ジョンソン祥子さんらが家族を語ったエッセイ、里子五人を育てるお母さんや、子育てする同性愛カップルの話などなど……読み応えたっぷりの特集です。
 最初に生まれ落ちる家族は選べないが故に様々な葛藤を生みます。大人になってから意識的に選んで作る家族(作らない、という選択も含めて)は、自分の選択であるがために別の葛藤をもたらすのかもしれません。家族と過ごすことの多い年末年始、目の前の人の顔をながめつつ、「考える人」の家族特集をぜひお読みください。