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夏休み子ども科学電話相談でおなじみの鳥類学者と恐竜学者のお二人の対談が首位に返り咲き! 研究って素晴らしいなと思わされるトークです。
記録的な酷暑のなか、『はじめての沖縄』トークイベントに執筆、音楽、お酒で大忙しの日々。根強い人気を誇っています。
ヨシタケシンスケさんとの共著『みえるとかみえないとか』が話題の研究者・伊藤亜紗さんによる、共感を呼ぶ育児エッセイ。子どもが、自分とは「違う」人と出会った時、どうやって声をかけるべきか?
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9月2日(日)
少し遅めの夏休みをとって、札幌に家族旅行。妻も娘も北海道に行ったことがない、と知って、連れてきたくなった。僕自身も詳しいわけではないが、来るたびに、洗練されているのに、どこかのんびりとした札幌という都市の空気が好きになってくる。

夜、ススキノのジンギスカン「だるま」へ。4店舗あるどの店も大行列していて驚く。地元の住民と観光客が混ざって並んでいるような感じ。結局1時間弱並んだが、また並びたいと思わされるほどおいしかった。なんとなくジンギスカンというのはタレにつけておいた羊肉ともやし、玉ねぎといった野菜をジンギスカン鍋で焼いて食べるものかと思っていたのだが、「だるま」では味のついてない羊肉と玉ねぎのみを焼き、つけだれで食べる。癖がなくさっぱりとした羊肉の味が忘れられない。朝3時とか5時ぐらいまで営業しているのだが、深夜0時過ぎまでは行列がとぎれないという。

食べ終わって、札幌でここ数年ブームの締めパフェの名店「佐藤」の姉妹店「佐々木」へ。こちらも行列で20名ぐらい並ぶ。

こっちについても、締めパフェってなんとなく昼間営業している喫茶店が夜まで営業して、夕食のあと、パフェを食べるのが流行っているのかと思っていたら、そういうんじゃないんですね。お酒も飲めるバーの形態で大人向けの凝ったパフェをメインにしている。バーカウンターでみんながパフェを食べているのは壮観だ。

「塩キャラメルとピスタチオ」と「お茶と柚子とライチ」を三人でつまむ。見かけが美しいだけでなく、たとえば「お茶と柚子とライチ」には抹茶とウーロン茶と柚子とライチの味がする部分があって、食べていると複数の味が自然とまじりあう。ここまでいろんな味を盛るパフェは初めて食べる。パフェのカクテルを味わっている感じ。

9月3日(月)
フレンチ「モリエール」のランチが予約できたので行ってみる。ミシュラン三ツ星などで有名な店で、食べログなどで予習をして行ったつもりだが、それでも驚かされた。

一番安めの3600円のコースにしたのだが、品数が8品以上ある。素材がいいので、出来立てを食べさせたい、というのと、驚きを与えたい、というのがおもてなし精神の根幹にあるようで、とうもろこしの冷製スープが運ばれたすぐ後に、ゆでたてのトウモロコシが提供されたり、お口直しのレモンティーのシャーベットは一口食べたあとに、洋梨のブランデーをかけて味が変わるのを楽しませたり、メインの豚肉を食べている途中にじゃがいものグラタンが取り分けられたり、デザートのクレームダンジュにその場でハスカップのソースをかけ、食べ終わると、お代わりどうですかと言われたり。

たびたび、何かを食べている途中にプラスの何かを持ってこられる。こちらはうれしいが、もてなす方からしたら、手間が二重にかかるだけでなく、時間のコントロールも難しいはず。食べ終わってから持ってこられても意味がないわけだから。

そういうコストがかかるだけでなく、面倒くさくて難しいはずのことをギャルソンが一丸となってやろうとしている意志に感動を覚えた。とても満足感のあるフレンチだ。スタッフの対応がとにかく温かくてこちらを緊張させない。忘れられないレストランになった。

その後、六花亭の喫茶室に行って、妻はすっかり札幌が好きになっている。

9月4日(火)
関西へ台風上陸の日。この夏の関西の被災は何度目だろうか。

帰りの飛行機が飛ぶのかどうかわからないまま新千歳空港へ。当たり前ながら関西への便はすべて欠航している。ツイッターで、映画の想像力を超えたようなとんでもない台風の映像を見る。

予約していた羽田への便の前の便が欠航になり、札幌でもう一泊するか空港の温泉で仮眠することも考えていたが、30分遅れで無事に飛び、11時ごろ自宅に帰ってくることができた。

欠航になるかならないかというのはまったく予想がつかない。運でしかないもので、明日あさっての予定が決まってしまうとは不思議だ。

9月6日(木)
朝、北海道で震度6強(のちに最大7)の地震があったことを知って絶句する。おとといまで北海道に馴染みを感じていたせいか、いたたまれない気持ちに襲われる。7年前の東日本大震災のときの私のように、北海道の人たちが今不安の中で過ごしている。天災はなんの予兆もなくふいに訪れて、たやすく人間の運命を変えてしまう。

午後、『超越と実存』で第17回小林秀雄賞を受賞された南直哉さんが来社。「Webでも考える人」に載せる受賞者インタビューをさせてもらう。1時間強のインタビュー。常に自己の問いかけと向かい合うエネルギッシュな人だった。

インタビューは、遅くとも10月12日の小林賞授賞式までに当サイトにアップする予定です。

その後、第50回新潮新人賞の選考会を社内の会議室でおこなう。新潮新人賞は毎年約2000名の応募者の中から、まだ世に出てない作家を生み出す。選考委員は昨年と同じく、川上未映子さん、中村文則さん、大澤信亮さん、鴻巣友季子さん、田中慎弥さん。新しい受賞作が生まれて編集者一同報われた気持ちになる(来週ぐらいに発表予定です)。

9月7日(金)
落合陽一さんの『デジタルネイチャー 生態系を為す汎神化した計算機による侘と寂』を読む。 宇野常寛さんのPLANETSから刊行されている。

先日養老孟司さんにお目にかかった時、とても面白かったと話題にしていた本である。養老さん、落合陽一さんにも注目しているのか、と驚いた。

魔法の世紀』は読んだのだが、『デジタルネイチャー』はぱらぱら開いて難しそうだと敬遠していた。わかるところとなかなか飲み込みずらいところが混在しているが、養老さんの毎日新聞8月26日号の書評を読むと急に補助線が引かれたように読めた。

「……中心の一つは、自然言語という枠を外して世界を見たら、どう見えるか、である。……私はむしろ言語を信じて来なかったから、著者の言い分を聞いて、そうか、なるほどそう考えればよかったのか、と思う。その種の思考を具体的に実現してくれるのがAIである。」

本当にそういう未来が待っているのかどうかはわからないが、そういう未来がやってきたら面白いな、と思わされる。まだわからない未来像にわくわくする。
 
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