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旅の相棒となる馬を手に入れた春間さん、さっそく100km離れた湖へと旅立つも、馬とウマが合わなくて大苦戦!? 愛馬マキシムスは名前が変わったようです。
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第17回小林秀雄賞を『超越と実存』で受賞した南直哉さんの記念インタビュー「思想には仏教と仏教以外しかない」を掲載しました。

仏教で重要なのは「使えるかどうか」だ、と南さんは言い切ります。現役の僧侶でありながら、仏教思想を常に問い直す南直哉とはどういう人間なのか。難渋な本書を紐解く導入としても最適なインタビューです。

9月30日(日)
台風の日。まだ、樹木希林さん死去、安室奈美恵さん引退のニュースの余韻が残っている。未見だった「あん」(河瀬直美監督)を見たり、「Checkmate!」を聴き直したりして過ごす。二人とも最近の作品がキャリアの中で一番かっこいいというのがすごい。

年号という日本の中でしか通じない時代区分にあまり意味付けをするのはどうか、とか、芸能を時代区分と関連づけて考えるのはどうか、と普段は思っているのだが、そんな私でも、さくらももこさん死去あたりから、「平成」の終わりを感じている。

昭和の戦後という時代があり、それをアップデートし、洗練させたものが平成だとすると、その反芻の期間が30年かけて終わりつつある。

橋本治さんの『89』という批評エッセイがあって、1989年に、天皇が崩御し昭和が終わり、手塚治虫が死に、美空ひばりが死に、天安門事件が起き、「おたく」の宮崎勤が幼女を殺して逮捕され、消費税導入が決まり、リクルート事件があり、自民党が選挙で負けて土井たか子率いる社会党が大勝した、という様々なことを、意図的に一緒くたにして考える本なのだけど、最近よくこの本を読んだときのことを思い出す。

『89』のあとがきの文章。

「この本がどういう本かという事を一言で言うと、『これから先、政治家になろうとする人間がいるんだったら、ここに書いてあることを全部分かって、その上で‘自分が何をするべきか‘がはっきり分かっている人間じゃなきゃ嫌だ!』と言うことを要求する本です」

東日本大震災以降の平成の8年間で何が終わりつつあり、何が始まりつつあるのか。その真っただ中にいて、まだ全体像は見えない。しかし、楽観的ではいられないことだけは分かる。平成の終わりまであと7か月。

10月1日(月)
宮沢章夫さんの主宰する遊園地再生事業団の「14歳の国」千秋楽公演を見てきた。早稲田小劇場どらま館にて。

中学校の教師が体育の時間に勝手に持ち物検査をする。その教師たち5人の物語。20年ぶりの再演で、そのころ私は、写真週刊誌にいたのだが青山円形劇場で確かに見た記憶がある。週刊誌で忙しく、妻が働いていて、娘も1歳だったはずだが、どうやって見に行ったのか覚えていない。

そして、野田秀樹さんのNODA・MAPが現在、「贋作 桜の森の満開の下」を再演中なのと不思議な符合を感じる(「贋作 桜の森の満開の下」の初演は平成元年なので30年前、だいぶ書き換えられた戯曲は単行本『贋作 桜の森の満開の下/足跡姫: 時代錯誤冬幽霊』として9月末から発売中)。

初演は男性5人で演じられた「14歳の国」、配役が女性4人、男性1人となってかなり印象が変わった。前作「子どもたちは未来のように笑う」と同じく、大場みなみさんがなかなか感情移入しにくい役をうまく演じていた。

正しいことをしているつもりだが、ほんとうは間違っている。じつはそのことを教師たちはよく知っていた。その「からだ」に興味を持った。(「ごあいさつ」より)

そういうことが20年前からあちこちで増えている気がする。

10月2日(火)
当サイトで「村井さんちの生活」を連載している村井理子さんの、『犬(きみ)がいるから』を読んだ。

「村井さんちの生活」最新回の「おかえり、わたし!」もよく読まれているが、この本も読んでてとにかく楽しくなる。日々人生でいろんなことを経験しながら、希望を見出すのは、ある程度年を重ねるとなかなか難しくなる。そんな中で、村井さんは人生に彩りを見つける名人だと思う。

「村井さんちの生活」にもときどき出て来る愛犬、ラブラドール・レトリバーのハリーとの生活を書いたエッセイ集である。犬や猫を家族として考える人も多いけれど、村井さんのハリーに対する距離感はペットである。ペットだからこそ、大きな存在なのだ。

「緑の山と、青い湖。それ以外何もないところなのに、ハリーが一匹いるだけで、なぜこんなにも毎日がスリリングなのでしょう。ハリーがいてくれるだけで、なぜこんなにも楽しいのでしょう」(「はじめに」)

村井さんの闘病時のことも書かれていて、この本は「村井さんちの生活」のB面である。もしくは「村井さんちの生活」がB面か。愛読している方には、この本もおすすめです。

10月6日(土)
夏の間、手入れをさぼっていたら、自宅の裏側が雑草だらけになっていた。午前中に庭仕事をはじめたら、1時間半ぐらいかかった。

今年の夏の日差しが強かったからか、今までにないぐらいの高さまで蔓が伸びている。隣家の敷地まで葉が伸びている。除草剤を撒いた記憶があるのだが、あまり効かなかったのか。鋏を使いながらでないと、うまく蔓がほどけず、なんともいえぬ疲れを感じる。

40代も後半になると、一年間が本当に早くて、年中、草むしりと、衣替えばかりやっているような気がする。四季があるとよく言うけれど、一年間を俯瞰して見ると、寒い時期と暑い時期がやたら長くて、ちょうどいい季節は意外なほど短いのもわかってくる。

先月、誕生日を迎えたのだけれど、今日、ふと気になって調べてみたら「サザエさん」の波平が54歳、フネが原作では48歳(アニメでは52歳)らしい。自分がフネと同い年になったのかと思うと、不思議な気持ちだ。とてもあのような落ち着きは身につけられてないけれど……。
 
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