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現役の僧侶でありながら、仏教思想を常に問い直す南直哉とはどういう人間なのか。受賞作『超越と実存』を紐解く導入としても最適なインタビュー。ぜひお読みください。
同性愛が禁じられているイスラム教の国イラクでも、変化の波が届き始めていると話すゲイの青年。「ところで、日本はどうなんだい?」と問われた安田さんの頭を過ったものとは。
入院生活を終えて復帰した日常は、こんなにも輝きに満ちたものだった!「自分を取り戻した」ことをめぐる感動的なエッセイが、3週連続のランク入り。
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能楽師であるとともに古典文学にも造詣が深く、「論語」からシュメール語の神話まで横無尽に読みこなす安田登さん。いつも「考える人」紙面での読書ガイドに登場いただいており、最近『投壜通信』を刊行した博覧強記の読書人・山本貴光さん。そんなお二人に、言葉の森の深奥へ、時空を駆け巡る道案内とでも言うべき対談「古典の森へようこそ」をお願いしました。下北沢・本屋B&Bでのトークイベントに、新たに対談を重ねたものです。トークイベントにいらした方にもきっと新たな発見がある対談です。

10月7日(日)
ヴェルディのオペラ「ファルスタッフ」を見にいく。「ファルスタッフ」は87歳で亡くなったヴェルディが最後に書いたオペラ。初めて見る。

前作の「オテロ」を16年ぶりに書いて虚脱感に襲われたヴェルディが、失敗と言われる「一日だけの王様」以来、久々に書いた喜劇だそうだ。シェイクスピアの「ウィンザーの陽気な女房たち」を原作にしたもので、ヴェルディが最後の自分の作品に選んだのがこのイギリスの古典であることはなんとも不思議に感じる。

そもそも、なんで太っちょ騎士ファルスタッフというキャラクターがこんなに欧米で人気があるのか、私にはあまりよくわからないのだが、こういう憎めない人物が主人公だからこそ、時代を風刺しやすいし、娯楽になりやすかったのだろうか。悲観的だったヴェルディがオペラを書いているうちにどんどん明るくなったという。

ヴェルディというと、長い間担当していた作家の河野多惠子さんがとても好きで、「ヴェルディは79歳で「ファルスタッフ」を書いたのよ。私も亡くなる直前まで仕事したいわ」と言っていたのを思い出す。河野さんは、作風も含めて、芸術家の生き方のロールモデルをヴェルディに見ていた。

そして実際、河野多恵子さんは実際に2015年1月、88歳で亡くなる直前まで仕事をしていた。思った通りの生き方だったろう。

10月9日(火)
昨日、今日と、大阪、広島で小説の打ち合わせ。当たり前のことながら、どこでも「新潮45」の話題になる。

「新潮45」の記事が問題になったときに、自分の信頼している編集者たちの声が公的には聞こえてこないのが、なんとも悲しかった、新潮社の中のまともな人のまともな言葉が読みたかった、と先日、ある小説家に言われた。

まだまだ、私たち新潮社の人間は、「新潮45」問題の渦中にいると実感する。

10月10日(水)
第50回新潮新人賞を「いかれころ」で受賞した三国美千子さんの授賞式、お祝いの会を、編集部内で簡単におこなう。

「いかれころ」は、河内を舞台に当時4歳児だった「私」から見た叔母の縁談と破談の一部始終が描かれる。生活の細部や生活に根差した細かな差別意識がとても丁寧な筆致で書かれている。選考委員ほぼ全員一致での受賞であった。受賞作は「新潮」11月号に掲載している。

10月11日(木)
ドニ―・アイカーのノンフィクション『死に山:世界一不気味な遭難事故《ディアトロフ峠事件》の真相』は、まるで本格ミステリーを読むような読後感だった。

書評サイトHONZの評で注目して読んだ。1959年に冷戦下のソヴィエトでウラル山脈の登山隊9名が怪死したらしい。彼らは服を着ておらず、頭がい骨を骨折していた者もいた。ロシアではその謎をめぐってオカルトめいた解釈を含めた多くの説があるらしいのだが、その謎をアメリカ人ドキュメンタリー映画作家が探求したのが本書である。

1959年の登山隊の姿と、2012年に著者がディアトロフ峠を調査する姿が交互に描かれる。一つ一つ説をつぶしていって、出された結論には説得力があって、こんなよくできたミステリー小説のような謎が今の時代に残っているのかと驚いた。

10月12日(金)
第17回小林賞・ドキュメント賞の授賞式。『超越と実存』で小林賞を受賞した南直哉さんにお祝いを言う。なかなかハードな本だが、当サイトに掲載したインタビューを脇に置きながら読むと、わかりやすくなるかもしれない。

小林賞選考委員の関川夏央さんに、このメールマガジンを読んでいると言われ、動揺する。「48歳になったんだってな」「なんで知ってるんですか」「メールマガジンの日記で読んだよ」「ええっ」

大学時代からファンだった著者に自分の日記を読まれているというのはこそばゆいものだ。
 
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