ローマ、フィレンツエ、ピサ、シエナ、ハノーファー、パーダーボルン、ゲッティンゲン、ロンドン、コヴェントリー、オックスフォード、ケンブリッジ、ブレッチリー・パーク、そしてブライトン。

 昨秋、2015年春号の特集「数学の言葉」取材のために訪れたヨーロッパの町です。国で言えば、イタリア、ドイツ、イギリス。
 ほかに足を運びたい国も多かったのですが、そこまでは手も足も回らず、とにかくはと駆け回ってきました。目的は、「計算」の歴史を追うことです。

「計算」という行為とともに、それを表現する「数学」は発展していきます。そして、さまざまな数学者たちの努力によって、あたかも「言葉」のように研ぎすまされ、かたちを成していくのです――その過程を、何人もの数学者たちの話に耳をすませ、現場の空気に触れて、歩いて、味わい考えてみようという試みです。

 さて、その挑戦的な旅はどのように実を結んだのか。「数学の演奏会」などの全国各地でのライブや評論活動でご活躍中の、独立研究者の森田真生さんと出かけてきた顛末を特集にまとめました。数学を育ててきた人はどんな人たちなのか、その土壌はいかなるものか。

 担当である私は文系ど真ん中なのですが、逆に、だからこその発見の連続でした。この「数学」というものは、私たちの生活にも実は大いにかかわっています。なにより、高校数学で終わったままじゃもったいない。そんな気持ちでまとめた特集です。美しい写真で、空気をそのまま伝えるように工夫しました。

 ぜひ、いっしょに旅をしてみてください。