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「仏教伝道文化賞 沼田奨励賞」の受賞を記念して行われたインタビュー。仏像ブームを牽引してきたみうらさんに、仏像や仏教の魅力について改めて語っていただきました。
2016年の記事ですが、ご本人がSNSで言及してくださって改めて読まれています。《兄が生まれたとき、今とは国籍法が違っていた/韓国籍として生まれるか、それとも認知を受けない子どもとして生まれるのか》
「新潮45」問題をめぐって高橋さんに急遽ご執筆いただき「新潮」に掲載した記事を、Webでもお読みいただけるよう当サイトに転載いたしました。反響が大きく、今週もよく読まれています。
編集長 今週のメルマガ
 
昨年から何度もメルマガに登場している当編集部の進行のSさんに、最近読んで面白かった3冊の本を選んでもらいました。メルマガ767号で「三くん」におススメ冒険本を3冊選んでもらいましたが、今回はシリーズ第2弾です。

[編集部員Sのおススメ本]
みなさん、こんにちは。「考える人」が紙の雑誌だった頃から編集部に在籍しているSと申します。「最近面白かった本、なにかない?」と編集長に訊かれたので、僭越ながら3冊挙げてみました。

とくに統一性もなにもない今回の選書ですが、この3冊の共通点は強いて言うなら、家族が買ってきた本。わたしだったら自ら手に取っていないかもしれないラインナップです。自分の好みに最適化されたリコメンドは打率が高くて、それはそれで重宝しますが、こういった偶然の出会いにヒットがあるとうれしいものです。
 
タイトルを見た瞬間、これはわたしのための1冊だと思いました。「片づけた」ではなく、最後の「い」がポイント。「片づけたい」のはやまやまでも、未遂のみなさんに贈る32編のアンソロジー。モノや思い出、人間関係まで片づけたい老若男女のエッセイを収録。年末の大掃除の前に一読するとやる気が出るかも!?(本を読む時間があったら、掃除しろという声が聞こえるような……)

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詩人・文月悠光さんの初エッセイ集。ふと読んでみたら、思いがけず強く引きこまれました。「もっとみんなに現代詩を知ってほしい!」と、中学生の時に路上で詩を朗読したり、アイドルオーディションに応募したりと、詩への愛と覚悟の強さにビックリ。でも、バイト先に馴染めずオドオドしたり、好きな異性との距離を測りかねたり、といったごくごくふつうのエピソードに共感も。この強さと脆さの危ういバランス、クセになります。

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その名のとおり、どうしてもおしっこがちょっぴりもれてしまう悩みをもつ男の子が主人公。うちの子どもが「もれたろう」なので読んでみたのですが、いやいやどうして、大人も打ち震える名作絵本……! 自分と同じ「もれたろう」を探すも、見当たらない。でも、おともだちはみんな違うことで困っている。一見、悩みなんかなさそうに見える人も、ひとり静かに困っているのかもしれない。「他者への理解」をわかりやすく、ユーモラスに伝えてくれる、素晴らしい1冊です。

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10月29日(月)
アメリカにHBOという日本でいうとWOWOWのようなケーブルテレビ局がある。『セックス・アンド・ザ・シティ』とか、『ゲーム・オブ・スローンズ』で有名で、テレビ映画や数話で終わるミニシリーズも傑作が多いと評判な放送局なのだけど、その中でも特に評価の高い2014年のミニ・シリーズ『オリーヴ・キタリッジ』全4話を見終わった。

原作は、エリザベス・ストラウトの短篇集『オリーヴ・キタリッジの生活』で、この作品はピュリッツァー賞もとっている。

主演は、今年『スリー・ビルボード』でアカデミー主演女優賞をとったフランシス・マクドーマンド。あの映画と同じく、かなり偏屈で自己中心的な性格の女性を演じる。

夫婦と息子の人生の変転が静かに描かれるドラマなのだが、主人公がエキセントリックで、夫が思いやりのある人物なのが面白い。かなり感情移入しにくい主人公なのに、いつの間にか彼女の世界観で物事を見られるようになるのは、話の運びがうまいからか、フランシス・マクドーマンドの演技がうまいからか。

見終わって何かに感動する。だけど、自分が何に感動したのかなかなか人に説明しづらい。人生を描いた作品は、そういうところが大事な気がする。

10月31日(水)
『流転の海』シリーズ完結記念トークイベント、宮本輝×小川洋子「壮大な生老病死の劇を描く」のスタッフとして、新宿・紀伊國屋ホールへ。ハロウィーンだけど、渋谷と違って新宿は仮装している人は一人二人見かけるくらいで普段と変わらない。会場に着くと、400人以上入る会場が満員だった。

宮本輝さんが37年間書いてきた自伝的小説『流転の海』全9巻が、10月末の『野の春』刊行をもって完結したことを記念したもの。

7000枚の小説をもう一度読み通して作られた小川洋子さんの質問がとにかく的確で、流れの作り方も含め、圧倒された。大規模な公開イベントだと、間口が広い応答になりすぎ、あまり深いところまで質問がいきつかなかったり、逆に深い応答になりすぎると未読の観客は置いてけぼりになってしまったり、ということになりがちだが、小川さんの質問はかなり深いものでありながら、常に観客を意識している。宮本輝さんの話しやすさも考えられている。

会場全体が温かい雰囲気に包まれ、90分の対談のあと、拍手がなりやまない。演劇のカーテンコールのようなものを、文学イベントではじめて体験した。

この対談は12月7日発売の新潮1月号に掲載の予定です。

11月2日(金)
吉田豪のインタビュー集『吉田豪と15人の女たち』を読む。朝日奈央、市井紗耶香、片瀬那奈、後藤真希、中井りか、最上もが、など、アイドル、女優、タレントへのインタビューをおさめる。

人間コク宝』や『元アイドル!』、『サブカル・スーパースター鬱伝』などに比べると、現役感の強い取材相手が強いせいか、破天荒なエピソード、ディープな話は少なめだが、それでも吉田豪のインタビューを読むと、芸能界という、渦中にいるときに自分の価値が見えにくくなりやすい世界特有のきらめきや残酷さを感じる。

評判になっている映画『アンダー・ザ・シルバーレイク』や、デイヴィッド・リンチの『マルホランド・ドライブ』、『ラ・ラ・ランド』などアメリカ・ハリウッドを舞台に、虚栄に満ちた世界のはかなさを描いた作品はたくさんあるが、私にとって、吉田豪の仕事は日本のそれに対応したもののように感じられる。有名な人とそうでもない人が並列に並ぶ吉田豪の価値観も独特な効果をあげている。

取材相手がいる中でこういう世界観を描くのは、かなり難易度の高い仕事ではないだろうか。
 
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