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編集長 今週のメルマガ
 
これから二週にわたり、「考える人」が雑誌創刊以来ずっとお世話になり、また私個人も、高校時代から読み続け、「新潮」編集部の15年来の担当だった、橋本治さんの本を10作品紹介したいと思います。

橋本治さんの著作は数のみではなく、扱ってきた分野を考えても、とてつもなく大きな存在です。小説、壮大な長編小説、超短編小説、古典の翻訳、源氏物語のリメイク、平家物語のリメイク、文学史の書き換え、美術史の書き換え、政争史の書き換え、少女マンガ論、世相論、時評、文学論、少女マンガ論、人生相談、歌舞伎・浄瑠璃・義太夫など古典の書き換えと解説、こんなに射程の広い作家を他に知りません。

膨大な著作より、現在入手困難なものも含めて選んでみました。今週は10位から6位までです。

10位 『「三島由紀夫」とはなにものだったのか
文学者論の中での最高傑作はこれではないか。三島由紀夫は「同性愛を書かない作家」だったとか、「女との恋愛を拒絶している作家」だったとか、「恋の不可能にしか欲望を機能させることが出来ない人」だったとか、目から鱗が落ちるようなキラーフレーズがいくつも出てきて、三島の小説の読み方が変わる。この本で、第一回の小林秀雄賞を受賞し、それが『小林秀雄の恵み』という仕事につながっていく。社会的な責任感が強かった橋本さんらしい仕事の流れだ。

9位 『いつまでも若いと思うなよ
自分が年をとっていくことや、病気との付き合い方についてかなり赤裸々に書いた新書。この作品と小説『九十八歳になった私』を今読むとせつない。バブル期に事務所のためにマンションを買い、自宅も建て替えて1億8000万円の借金を背負ったことや、月々銀行にいくら返してきたかなどがきわめて具体的に書かれる。その借金を返し終わったのが、病気が判明した昨年の6月だった。

8位 『男の編み物、橋本治の手トリ足トリ
1983年の少しマニアックな編み物の本。橋本治さんがイラストレーターだったことは知られているが、「美」がわかる人であるだけでなく、「美」を自分で描ける人でもあることがよくわかる。いきなりすごい編み物のデザインを見せてきて、こういうの作ってみなよと誘ってくる。中古本市場では高値がついているが、図書館などにあったらぜひ見てほしい。橋本治の名前を小説や批評ではなく、この本で覚えている人も多い。

7位 『草薙の剣
「新潮」に掲載されたこの作品については、メールマガジン730号で以前書いたが、そのとき聞いた「代表作がようやく書けた」という言葉を噛みしめている。橋本さん、一時期は小説より批評やエッセイの仕事が中心だったけれど、おそらくずっと自分の一番大切な仕事は小説だと思っていたはず。小説の依頼はまず断らなかった。2年以上かかって毎月少しずつ原稿を受け取った。いつ完成するのか不安になったこともあったし、一緒にした仕事の中で一番難産だったが、それも今ではいい思い出だ。

6位 『
「小説すばる」に掲載された連作小説集。『夜』は男を描いたものが多く、柴田錬三郎賞を受賞した「蝶のゆくえ」は女を描いたものが多いが、共に登場人物の突き放し方がひどい。古典芸能を愛した橋本さんならではの視線だと思う。バイセクシャルの男を主人公とした「暁闇」には特にぞっとした。桃尻娘シリーズの第4巻『無花果少年(ボーイ)と瓜売小僧(うりうりぼうや)』とこの「暁闇」が、橋本さんの小説の中でもっともせつない。
 
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