青春時代と呼ぶには
 あまりに
 重すぎるけれど
 漆黒とは
 光を映す色のことだと

 3歳で発症して以来、全身の筋肉が衰えていく筋ジストロフィーという進行性の難病と闘う仙台在住の詩人、岩崎航さんの作品です。自ら命を絶とうと思い詰めたこともあった苦しい闘病生活でしたが、25歳になって症状が落ち着いた頃、詩を書き始めました。

「暗闇に包まれたような世界で思ってきたこと、這い上がろうとして泣きながら生きてきたこと、生きる中からつかんでいったと感じられたことが今の私を動かしていると思います」――そう語る岩崎さんの作品は、いまや病の有る無しにかかわらず、多くの人々の心の支えとなっています。

 天災や事故や病気……災厄はないに越したことはないのかもしれませんが、それなりの時間を生きていれば、誰でも何かしらの不運や不調には見舞われるもの。そんなとき、嘆くばかりでなく、そこから何かを学び取り、つかみ取る姿勢を保つことができれば、人生はかえって豊かなものになるかもしれません。立ち止まる機会を得たからこそ得られる視点や人生観を特集「病とともに生きる」で考えてみました。

 こうした私たちの思いを見事に代弁してくださったのが高橋源一郎さんによる巻頭エッセイ「ぼくたちには弱さが必要なんだ、ということ」です。息子さんの病気を機に「弱さの研究」を始めた高橋さんに、心身障害を持つ男の子の父親と、遺伝性の難病の女の子を持つ父親が口をそろえて言った言葉があったそうです。「いい人生です。わたしは感謝しています。素晴らしい子どもです。もし彼(女)にあの運命が訪れなかったら、わたしは、いまよりもずっと傲慢な人間だったでしょう。彼(女)のおかげで、わたしはやっと、他人の苦しみを理解できる人間になることができたのです」。

 暗闇の中で光をつかんだ人々の言葉に、冬号でぜひ触れてみてください。