デンマークの消費税は25%、所得税は平均すれば約50%。デンマークは大変な「重税」の国です。ところが……特集で取材した六組の家族に尋ねたところ、この「重税」についての不満はありませんでした。それどころか「下手に減税なんかされたら困る」と断言するワーキング・マザーさえいたのです 。

 税金はたしかに高い。しかし、高い税金がきちんと運用されていれば文句はない、という考え方。福祉、教育、医療にほとんどお金がかからず、失業や老後にもまったく心配のない現状の制度が維持されている限り、「重税」はやむを得ない、と認めているのです。

 だから政治には無関心ではいられません。何しろ自分で稼いだお金がどう運用されるかは最後まで見届けなければならないからです。先日行われた地方選挙の投票率はなんと87%。投票率が80%を超えるのはごく普通なのです。汚職もあり得ません。Honest as Dane=デンマーク人のように正直、という言い方があるほど、彼らは生真面目です。

 女性の社会進出について言えば、デンマークはヨーロッパでいちばん早く、ワーキング・マザーという言葉もほとんど死語です。若い夫婦に限れば、100%近くが共働きだといいます。旦那さんが出産に立ち会うのは常識ですし、育児も家事も共同作業。ただし……離婚率は50%に近い。

 住まいは二極化しています。若い人は隣近所とのつき合いの不要なアパートメント暮らしを好み、一戸建てを望む40代以上の世帯は、「100年ぐらい前の古い家を手に入れて改修して住む」というのがステータスになっているようです。

 ちなみに子どもたちは18歳になると独立して家を出るのがデンマークの不文律。18歳を過ぎても実家にいる、となると、「ちょっと変なんじゃない?」と思われてしまう。つまり、パラサイト・シングルはゼロ。このように核家族化が進み高齢者福祉が機能しているので、子どもが親の介護をすることもありません。

 ……などなど、日本人の私たちには驚くことばかり。「普通の家族」から聞くデンマークの暮らしの事情をたっぷりとお伝えします。