ドイツという国に対して、皆さんはどのようなイメージを持っているでしょうか? 車や精密機械を生産する堅実な工業国、あるいはEU経済を支える大黒柱、GDPはアメリカ、日本の次の世界三位、ヨーロッパ最大の経済大国といったところでしょうか。

 しかし、現在ドイツが国を挙げて積極的に目指している国家の形は、そのような経済最優先の国家像から「環境先進国」「持続可能な社会」にシフトしています。国内には巨大な風力発電機が1万本も立ち、ゴミのリサイクルやリユースのシステムは世界一。この7年間、環境保護に熱心な「緑の党」が政権党にいたこともあって、電力会社が家庭の太陽光発電を高い値段で買いとらなければならない法律が義務付けられ、2002年には原子力発電の将来的な廃止も決まりました。チェルノブイリ原発事故以来、一般的なドイツ人でも、原発の安全性に疑問を持つようになったからとも言われていますが、振り返って日本を考えてみると、国会で原発廃止が論議されるなんて事態は全く想像つきません。

 そのような国家レベルの政策はさておき、普通のドイツ人は、実際のところ、環境問題に対してどう考えているのか? それがよくわかりません。日本ではゴミの分別の進み具合も自治体によってまちまちですし、「再生可能なエネルギー」などと言われても、正直、あまりピンときません。かの地では「環境問題」がどう捉えられているのか。それを知るために、実際に生活するドイツ人に取材して生の声を聞くことにしました。

 等身大の「環境先進国」ドイツの実情を探るための強力なパートナーとして『考える人』編集部が、同行をお願いしたのが、地域雑誌『谷中・根津・千駄木』の編集人でもあり、町並み保存にも詳しい森まゆみさん。「共に生きること」に関心があるという森さんと相談して、まず初めに取材候補の一番目に挙がったのが「環境共生住宅」でした。
 建物の壁面にツタが絡まり、屋根にはソーラーパネルが設置されている外観が印象的な「環境共生住宅」。エネルギー削減などを志向しながら、リサイクル可能な建材などを使い、雨水利用などの節水、屋上緑化、太陽エネルギーの導入などを目指す集合住宅です。ドイツでは、各地に環境にやさしいエコ住宅地が作られているのです。

 そこで人々がどんな生活をしているのか? 「環境共生住宅」の代表例ともいわれるフライブルク市ヴォーバン地区の住民フォーラムに、“ものは試しに”と、英語で「ドイツ人家族の実際の生活が見てみたい」というメールを送ってみました。ダメ元で送ったつもりが、翌日には、「気軽に家を訪ねてくれ」「うちには子供が何人いる」「大歓迎だ」というメールが4、5件も寄せられました。ドイツ人には気難しい雰囲気がありますが、想像以上にオープンでした。

 結局、現地で取材できたのは、入居してまだ5週間しか経っていない家に住むブラックマン家と、賃貸住宅に住むユテ・リンスバウアーさんの家。片方は、子供3人と夫婦2人の5人家族、もうひとつは日本でいうDINKS。彼らがどんなに魅力的な生活をしているかは、発売中の最新号を御覧下さい。