特集の巻頭カラーグラビア「2005年仏教の旅」は、インドにある釈迦ゆかりの地を写真で紹介する「ゴータマ・ブッダのいた風景」と、先進的な試みをしている大阪のお寺・應典院をレポートした「いま、お寺ができること」の二部構成となっています。

「ゴータマ・ブッダのいた風景」の案内役は、元「太陽」編集長の門崎敬一さんです。実はこの企画、作家の故水上勉さんの旅行記として約十五年前に門崎さんにより構想、取材されたものだったのですが、諸般の事情でお蔵入りとなっていました。坂本真典さん(当時は平凡社勤務、現在はフリーでクラフトエヴィング商會との仕事などで活躍中)による写真は、水上勉さんと旅をしたときに撮影されたものです。しかし水上さんは、このインド旅行の直後に訪れた中国で天安門事件に遭遇、旅の疲労が重なり帰国後病に倒れてしまいました。ついにこの旅行記は書かれることなく、水上さんは昨年往生されました。その写真を今回初公開いたします。

 ブッダの出生地であるルンビニー、六年の苦行を実践したネーランジャラー河、正覚を得たブッダガヤー、初転法輪と呼ばれる最初の説法を行なった鹿の園、臨終の地であるクシナガラなど、ブッダ臨終から約二千五百年が経っていますが、それぞれの場所からオーラが漂うすばらしい写真ばかりです。出来上がったページを眺めた門崎さんは「これでやっといろいろなものを鎮魂できたように思えます」とほっとした表情で語っていました。

 そして「2005年仏教の旅」の舞台は大きく転換します。「いま、お寺ができること」は大阪天王寺区にあるお寺・應典院が舞台です。應典院の建物はコンクリートの打ちっ放しで、一見して誰もお寺だと思えないようなモダンな佇まいをしています。また本堂では毎日のようにコンサートや演劇、朗読会といったイベントを開くなど、新しい試みを行なっています(最近このようなお寺を総称して「イベント寺」というそうです)。

 この「新しき寺」應典院を、快著『間取りの手帖』の筆者、現在フリーライターとして活躍中の佐藤和歌子さんが訪ねました。佐藤さんは一九八〇年生まれ、今まで仏教とは親族の葬式以外何の縁もなかったということですが、秋田光彦住職に導かれ、應典院あるいは仏教による壮大な「フィクション」に巻き込まれ、戸惑いながらも、現在のお寺の在り方を探っていきます。

 仏教誕生の地と、二千五百年後の仏教のエッジとも言うべきお寺、仏教における両極の地を写真、文章でお楽しみください。