本特集の後半は、「考える料理」実践編とでも言うべき、「プロに訊く料理のコツ」というページをもうけ、シェフや板さんに様々な料理法のノウハウを伝授して頂きました。
「捌く」は、魚市場のすぐ近くの築地「魚河岸三代目 千秋」店主の小川貢一さん。小川さんは、いつでも安価な値段で手に入る鰺の捌き方を伝授。
「煮る」は、沖縄の那覇にある本格的な割烹「潮」のイケメン店主、原透悦さん。研究熱心な原さんからは、モツの煮込みでありながら繊細な味わいの「中味汁」をいかに辛抱強く煮るかを教わりました。
「焼く」は、六本木ヒルズのフレンチ「レスプリ ミタニ」の筋骨隆々のシェフ、三谷青吾さん。彼によると、分厚いステーキの豪快な焼き方には、繊細な温度調整が必要とのこと。
「炒める」は、やはり、中華鍋を駆使するチャイニーズで。代々木上原「ジーテン」の吉田勝彦さんは飄々とした語り口で、同じ炒め物でも、材料によっていれる順番や火力が異なることを説明してくれました。
取材したときには赤坂見附の「洋食とんかつ フリッツ」で料理長、いま青山に新しい店を開店準備中の柳野隆之さんからは、洋食の「とんかつ」を比較的低温でおいしく「揚げる」方法を習いました。
そして、同じ揚げ物でも、「天ぷら」は含蓄のあるお話をカウンターで聞くことができる赤坂「楽亭」で。石倉楫士さんは、目、耳、匂いと感覚を鋭くして、火加減を判断することの大事さを説きます。
最後は、広尾「分とく山」の料理長、野崎洋光さんに「調味料」の話でしめてもらいました。
……実は、この企画を考えているときに、「美味しさの考察」の執筆陣にも含まれている玉村豊男さんの『料理の四面体』に準拠して、料理法を選んでいこうと思い立ちました。

底面の「ナマものの世界」は刺身など、魚を「捌く」次元。
火と水を結ぶ辺は「煮る」。
火と空気を結ぶ辺は「焼く」。今回はちょうど真ん中の「ロースト」に当たるでしょうか。
火と油を結ぶ辺は、下のほうが「揚げる」。頂点に近いほうが「炒める」。
こんな風に頭を整理していたのですが、一つ大事な料理法を載せることを忘れてしまいました。
それはなんでしょうか? 上のほうにある「煎る」ではありません。……火・水・空気の面のどこかに位置する「蒸す」です。
でも、ご安心ください。「炒める」に登場した「ジーテン」の吉田勝彦さんが『「蒸す」って、おいしい。―キッチンはいいにおい!』という中華「蒸し料理」A to Zともいえる本を出しています。今日は、蒸籠を取り出して、蒸し料理に挑戦してみてはいかがでしょうか。