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 ベテラン政治記者の胸中
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 先月はジャーナリズム受難のひと月かと思うほどに、いろいろな事件が重なりました。山中伸弥・京大教授のノーベル賞受賞のニュースに沸きたった直後、「iPS細胞を使った世界初の臨床応用」を朝刊1面でスクープした読売新聞の記事(10月11日)が誤報と判明。「特ダネ」が一夜にして「ガセネタ」と化しました。記事化を見送っていた朝日、日経などと読売(「後追い」した共同通信、産経新聞を含めて)との判断の分かれ目がどこにあったのか――取材・掲載過程の検証が注目されました。そこに、今度は新聞社系の週刊誌で新たな火が噴きました。

 橋下徹大阪市長の出自に関する「週刊朝日」の新連載「ハシシタ 奴の本性」
(執筆・佐野眞一/同誌取材班、10月26日号)をめぐって、橋下市長が親会社で
ある朝日新聞社に抗議し、取材拒否を表明したのです。すると、「週刊朝日」側
は「同和地区などに関する不適切な記述が複数あり、このまま連載の継続はでき
ないとの最終判断に至りました」と編集長名でコメントを出し、謝罪とともに連
載中止を発表しました。橋下市長のバストアップの写真を載せた表紙に、大きく
「救世主か衆愚の王か」「橋下徹のDNAをさかのぼり本性をあぶり出す」と刷
り込んだ当初の姿勢と、連載をわずか1回で打ち切るという結論のギャップに驚
いたことは言うまでもありません。次号に編集長名で見開きの「おわび」が掲載
されましたが、問題の本質を明らかにし、この対応の是非を検討する作業はすべ
てこれからという状況です。

「考える人」編集長 河野通和(こうのみちかず)